論語」カテゴリーアーカイブ

孔子の論語 衛霊公第十五の十三 吾未だ徳を好むこと色を好むが如くする者を見ざるなり

孔子の論語の翻訳402回目、衛霊公第十五の十三でござる。

漢文
子曰、已矣乎、吾未見好徳如好色者也。

書き下し文
子曰わく、已矣乎(やんぬるかな)。吾(われ)未(いま)だ徳を好むこと色を好むが如(ごと)くする者を見ざるなり。

英訳文
Confucius said, “How incurable! I have not seen a person who loves virtue as he loves a beauty yet.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「どうしようもないな。私は美人を愛するように自然と美徳を愛する人物に出会った事がない。」

Translated by へいはちろう

子罕第九の十八に同じ文章がでてくるでござるな。

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孔子の論語 衛霊公第十五の十二 人にして遠き慮り無ければ、必ず近き憂い有り

孔子の論語の翻訳401回目、衛霊公第十五の十二でござる。

漢文
子曰、人而無遠慮、必有近憂。

書き下し文
子曰わく、人にして遠き慮(おもんばか)り無ければ、必ず近き憂い有り。

英訳文
Confucius said, “If you don’t consider the distant future, you will sorrow before long.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「先々の事を考えて行動しないと、禍(わざわい)は身近な所からやってくるだろう。」

Translated by へいはちろう

しかし禍が起きるまで改めず、のど元過ぎれば熱さ忘れるのが人間というものでござるな。だからといって日頃の備えを怠ってよい訳ではなく、そうやって度々反省するのも大切な事でござろう。

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孔子の論語 衛霊公第十五の十一 鄭声を放ちて佞人を遠ざけよ

孔子の論語の翻訳400回目、衛霊公第十五の十一でござる。

漢文
顔淵問爲邦、子曰、行夏之時、乘殷之輅、服周之冕、樂則韶舞、放鄭聲、遠佞人、鄭聲淫、佞人殆。

書き下し文
顔淵(がんえん)、邦(くに)を為(おさ)めんことを問う。子曰わく、夏(か)の時を行い、殷(いん)の輅(ろ)に乗り、周の冕(べん)を服(ふく)し、楽(がく)は則(すなわ)ち韶舞(しょうぶ)し、鄭声(ていせい)を放ちて佞人(ねいじん)を遠ざけよ。鄭声は淫(いん)、佞人は殆(あや)うし。

英訳文
Yan Yuan asked how to govern the country. Confucius replied, “Use the calendar of Xia. Ride on the carriage of Yin. Wear the hat of Zhou. Play and dance the Shao music. Never play the music of Zheng. Never keep company with a glib talker. The music of Zheng is obscene. A glib talker is danger.”

現代語訳
顔淵(がんえん)が国を治める方法を尋ねました。孔子は、
「夏の暦を用い、殷の馬車に乗り、周の礼服を着て、舞楽は韶を演奏しなさい。鄭の音楽は禁止して、口先だけの輩と付き合ってはならない。鄭の音楽は淫らで風紀に良くないし、口先だけの輩は国を危うくするからだ。」
と答えられました。

Translated by へいはちろう

顔淵(がんえん:顔回とも呼ぶ。姓は顔、名は回、字は子淵。詳細は公冶長第五の九に。)

述而第七の十三でも韶の音楽を絶賛し、陽貨第十七の十八でも鄭の音楽と口達者な人間を嫌っておられるでござるな。

口達者云々はともかく、昔の偉い人がこういう主観的な意見を残すと後世の人々が迷惑するのでござるよな。現在はともかく、漢の時代あたりの文化人は儒学の価値観にしばられて大変だったでござろう。歴史的には儒学を奨励していた漢が滅んで魏の時代になると建安の風骨として儒学から解き放たれた新しい文化が花咲くのでござるが。

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孔子の論語 衛霊公第十五の十 其の大夫の賢者に事え、其の士の仁者を友とす

孔子の論語の翻訳399回目、衛霊公第十五の十でござる。

漢文
子貢問爲仁、子曰、工欲善其事、必先利其器、居是邦也、事其大夫之賢者、友其士之仁者也。

書き下し文
子貢(しこう)、仁を為さんことを問う。子曰わく、工(こう)、其の事を善くせんと欲すれば、必ず先ず其の器(き)を利(するど)くす。是の邦(くに)に居りては、其の大夫の賢者に事(つか)え、其の士の仁者を友とす。

英訳文
Zi Gong asked how to accomplish benevolence. Confucius replied, “A carpenter sharpens his tools before work. So you should serve a wise minister and make friends with a benevolent person in the country.”

現代語訳
子貢(しこう)が仁を身につける方法を尋ねました。孔子は、
「大工が良い仕事をしようと思ったら、まず道具を良く研ぐものだ。だから賢い大臣に仕えて仁徳のある友人を作りなさい。(そうして自らを研鑽するのだ)」
と答えられました。

Translated by へいはちろう

子貢(しこう:姓は端木、名は賜、字は子貢。詳細は公冶長第五の九に。)

学而第一の十五と同じように絶えず自らを研鑽することが大事だという事でござるな。

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孔子の論語 衛霊公第十五の九 志士仁人は、生を求めて以て仁を害すること無し

孔子の論語の翻訳398回目、衛霊公第十五の九でござる。

漢文
子曰、志士仁人、無求生以害仁、有殺身以成仁。

書き下し文
子曰わく、志士(しし)仁人(じんじん)は、生を求めて以(もっ)て仁を害すること無し。身を殺して以て仁を成すこと有り。

英訳文
Confucius said, “A person with high aspirations and a benevolent person never deviate from benevolence for their life. They would rather kill themselves to accomplish benevolence.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「志のある人物や仁者は我が身惜しさに仁の道にはずれるような事はしない。むしろ命をなげうって仁を達成する事もある。」

Translated by へいはちろう

孔子のお考えはともかくとして、本人は自覚していないでござろうが、こういう言葉を「自分の命を犠牲にすれば何をしても良い」と勘違いする御仁も歴史上にも現代にも後を絶たなくて困りものでござるな。

人々や正義のために命を捨てる行為はそれは称賛される場合もあるでござろうが、命をかける行為がすべて正当化される訳ではないのでござる。むしろ死んだ後では批判に対して反論すらできなくなるので、哀れといえば哀れでござるな。

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