孔子の論語 子張第十九の八 小人の過つや、必ず文る

孔子の論語の翻訳490回目、子張第十九の八でござる。

漢文
子夏曰、小人之過也必文。

書き下し文
子夏(しか)が曰わく、小人の過(あやま)つや、必ず文(かざ)る。

英訳文
Zi Xia said, “A worthless man always conceals his errors.”

現代語訳
子夏(しか)が言いました、
「つまらない人間はいつも自分の間違いを誤魔化そうとする。」

Translated by へいはちろう

子夏(しか:姓は卜、名は商。字は子夏。詳細は雍也第六の十三に。)

失敗をした時には中々冷静にはなれなくて、つい隠そうとしてしまうものでござるな。そして大抵すぐバレてしまうのでござる。子供の頃にはありがちな事でござるが、大人になってからだと取り返しがつかなくなる事もあるでござるな。

ただ人生を左右するような、また家族を巻き込むような失敗をした時に果たして冷静な判断ができるかと言えば、拙者には自信が無いでござるよ。

とりあえず交通事故には気をつけましょう。注意一秒怪我一生。

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孔子の論語 子張第十九の七 君子、学びて以て其の道を致す

孔子の論語の翻訳489回目、子張第十九の七でござる。

漢文
子夏曰、百工居肆以成其事、君子學以致其道。

書き下し文
子夏(しか)が曰わく、百工(ひゃっこう)、肆(し)に居て以て其の事を成す。君子、学びて以て其の道を致す。

英訳文
Zi Xia said, “Craftsmen work at their studios. Gentlemen accomplish their way by learning.”

現代語訳
子夏(しか)が言いました、
「職人は彼らの仕事場でその仕事を完成させる。人々の手本足るべき君子は学問によってその道を完成させる。」

Translated by へいはちろう

子夏(しか:姓は卜、名は商。字は子夏。詳細は雍也第六の十三に。)

この職人集団から後の墨子と墨家集団が出るのでござるが、子夏の頃には既に対立意識があったのでござろうか。

孔子も子夏の言葉にも、技術軽視的な言葉が多くて一般に君子は細々とした事を習うべきではないという立場なのでござるが。それ故に彼ら職人集団から墨家が誕生したのでござろうな。思想哲学には受け皿となる母体がなければならないでござるからな。

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孔子の論語 子張第十九の六 博く学びて篤く志し、切に問いて近く思う、仁其の中に在り

孔子の論語の翻訳488回目、子張第十九の六でござる。

漢文
子夏曰、博學而篤志、切問而近思、仁在其中矣。

書き下し文
子夏(しか)が曰わく、博く学びて篤(あつ)く志し、切(せつ)に問いて近く思う、仁其の中(うち)に在り。

英訳文
Zi Xia said, “If you learn widely, aspire after an ideal eagerly, ask a question seriously and consider the question yours, benevolence is in your heart.”

現代語訳
子夏(しか)が言いました、
「博く学んで熱心に理想を求め、真剣に質問して身近な問題として考える事ができるなら。仁はその心の中にある。」

Translated by へいはちろう

子夏(しか:姓は卜、名は商。字は子夏。詳細は雍也第六の十三に。)

なんとなく子夏は学問的な側面からのみ仁を解釈しているように感じるでござるな。

自己修練としての儒学から大きくはずれてはいないのでござるが、あくまで自分本位で、他者を思いやる気持ちとしての仁とは違うような印象でござる。

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孔子の論語 子張第十九の五 日々に其の亡き所を知り、月々に其の能くする所を忘るること無し、学を好むと謂うべきのみ

孔子の論語の翻訳487回目、子張第十九の五でござる。

漢文
子夏曰、日知其所亡、月無忘其所能、可謂好學也已矣。

書き下し文
子夏(しか)が曰わく、日々に其の亡(な)き所を知り、月々に其の能(よ)くする所を忘るること無し。学を好むと謂(い)うべきのみ。

英訳文
Zi Xia said, “If you learn what you don’t know everyday and review what you learned every month, you truly like learning.”

現代語訳
子夏(しか)が言いました、
「日々新しい事を学び、月々に学んだ事を復習して忘れないようにするなら、本当に学問を好むと言って良いだろう。」

Translated by へいはちろう

子夏(しか:姓は卜、名は商。字は子夏。詳細は雍也第六の十三に。)

毎日少しづつの修練の繰り返し、そんな単純な事を続ける事が実は一番難しいのでござるよな。

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孔子の論語 子張第十九の四 小道と雖も必ず観るべき者あり、遠きを致さんには泥まんことを恐る

孔子の論語の翻訳486回目、子張第十九の四でござる。

漢文
子夏曰、雖小道必有可觀者焉、致遠恐泥、是以君子不爲也。

書き下し文
子夏(しか)が曰わく、小道と雖(いえど)も必ず観るべき者あり。遠きを致さんには泥(なず)まんことを恐る、是(ここ)を以て君子は為(な)さざるなり。

英訳文
Zi Xia said, “Even byways have great view. But if you walk long way, you will get muddy. So a gentleman never walks byways.”

現代語訳
子夏(しか)が言いました、
「小道を歩いても素晴らしい景色に出会う事もあるだろう。しかし遠い道のりを歩こうとすれば泥まみれになってしまう。だから人々の手本たるべき君子は、とるにたらぬ余計な事を学ばず、君子としての道のみを学ぶのだ。」

Translated by へいはちろう

子夏(しか:姓は卜、名は商。字は子夏。詳細は雍也第六の十三に。)

拙者の好きな老子の言葉に、

大道は甚だ夷らかなれども、民は径を好む – 老子 第五十三章

というのがあるのでござるが、似ているようでまったく違う言葉でござるな。

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