孔子の論語 憲問第十四の二十七 其の位に在らざれば、其の政を謀らず

孔子の論語の翻訳370回目、憲問第十四の二十七でござる。

漢文
子曰、不在其位、不謀其政。

書き下し文
子曰わく、其の位に在(あ)らざれば、其の政(まつりごと)を謀(はか)らず。

英訳文
Confucius said, “Do not meddle in other people’s affairs.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「他人の仕事に余計な口出しはしない事だ。」

Translated by へいはちろう

泰伯第八の十四に同じ文があるでござる。

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孔子の論語 憲問第十四の二十六 其の過ち寡なからんことを欲して、未だ能わざるなり

孔子の論語の翻訳369回目、憲問第十四の二十六でござる。

漢文
遽伯玉使人於孔子、孔子與之坐而問焉、曰夫子何爲、對曰、夫子欲寡其過而未能也、使者出、子曰、使乎使乎。

書き下し文
遽伯玉(きょはくぎょく)、人を孔子に使いせしむ。孔子これに坐(ざ)を与えて問いて曰わく、夫子(ふうし)何をか為す。対(こた)えて曰わく、夫子は其の過(あやま)ち寡(すく)なからんことを欲して、未(いま)だ能(あた)わざるなり。使者出ず。子曰わく、使いなるかな、使いなるかな。

英訳文
Qu Bo Yu sent a messenger to Confucius. Confucius made him sit and asked, “How is your master?” The messenger replied, “He wants to reduce his errors, but he still cannot do it.” After the messenger went back, Confucius said, “He is a good messenger. He is a good messenger.”

現代語訳
遽伯玉(きょはくぎょく)が孔子に使者をよこしました。
孔子が使者を座らせて、
「あなたの主人は最近いかがですか?」
と尋ねると、使者は、
「あの方は過ちを少なくしたいとなさっておいでですが、達成できずにおります。」
と答えました。使者が帰った後、孔子は、
「立派な使いだ。立派な使いだ。」
とおっしゃいました。

Translated by へいはちろう

遽伯玉(きょはくぎょく:衛の大夫。呉の季札より君子と称されている。孔子が衛に立ち寄った時には、遽伯玉の家に滞在していた。)

孔子は使者を褒めることによって、主人である遽伯玉も同時に褒めているのでござるな。確かに使者の返答はへりくだりつつも主人の顔を立てる心憎い内容でござる。

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孔子の論語 憲問第十四の二十五 古の学者は己の為ににし、今の学者は人の為にす

孔子の論語の翻訳368回目、憲問第十四の二十五でござる。

漢文
子曰、古之學者爲己、今之學者爲人。

書き下し文
子曰わく、古(いにしえ)の学者は己の為にし、今の学者は人の為にす。

英訳文
Confucius said, “The ancient people learned in order to improve themselves. The present people learn in order to succeed.

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「昔の人々は自分を向上させるために学んだ。今の人々は地位と名誉のために学んでいる。」

Translated by へいはちろう

拙者は「学ぶことが快楽だから」、学んでいるのでござるよ。

食事をし、人を愛し、眠る。好奇心はこれら三大欲求に次ぐ人間だけに与えられた本能だと考えている次第。

お腹がすけば食事をする、食後には皿洗いをしなければならないが食事中に後片付けの事は考えない。学んでいる時に、「何のために学んでいるのか」を考えるなどナンセンスでござる。

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孔子の論語 憲問第十四の二十四 君子は上達す、小人は下達す

孔子の論語の翻訳367回目、憲問第十四の二十四でござる。

漢文
子曰、君子上達、小人下達。

書き下し文
子曰わく、君子は上達(じょうたつ)す。小人は下達(かたつ)す。

英訳文
Confucius said, “Gentlemen are familiar with lofty matters. Worthless men are familiar with vulgar matters.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「人格者は高尚な事柄に精通する。つまらない人間は下賎な事柄に精通する。」

Translated by へいはちろう

高尚か下賎かは別として、「好きこそものの上手なれ」ということわざがあるでござるな。

趣味や嗜好というものは、普通の人々の理解の範疇を超えた次元に到達してこそ、その味を知ることができると拙者は考える次第。

拙者の歴史好きを例にだせば、「そんなに歴史に詳しいなんてすごいね」と言われている内はまだまだで、「そんなに歴史を勉強して何の役に立つの?」と人から呆れられるぐらいになりたいと思っているのでござる。

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孔子の論語 憲問第十四の二十三 欺くこと勿かれ、而してこれを犯せ

孔子の論語の翻訳366回目、憲問第十四の二十三でござる。

漢文
子路問事君、子曰、勿欺也、而犯之。

書き下し文
子路(しろ)、君に事(つか)えんことを問う。子曰わく、欺(あざむ)くこと勿(な)かれ。而(しか)してこれを犯せ。

英訳文
Zi Lu asked how to serve one’s lord. Confucius replied, “Do not lie to your lord. But remonstrate without hesitation.”

現代語訳
子路(しろ)が主君に仕える事を尋ねました。孔子は、
「嘘をついてはいけない。しかし主君の誤りは躊躇せずにいさめよ。」

Translated by へいはちろう

子路(しろ:季路とも言う。姓は仲、名は由、字は子路。詳細は公冶長第五の七に。)

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