ちょんまげ翻訳 和英」カテゴリーアーカイブ

孔子の論語 衛霊公第十五の二十六 馬ある者は人に借してこれに乗らしむるに及べり

孔子の論語の翻訳415回目、衛霊公第十五の二十六でござる。

漢文
子曰、吾猶及史之闕文也、有馬者借人乘之、今則亡矣夫。

書き下し文
子曰わく、吾(われ)は猶(な)お史の文を闕(か)き、馬ある者は人に借(か)してこれに乗らしむるに及(およ)べり。今は則(すなわ)ち亡(な)きかな。

英訳文
Confucius said, “Could I refer to a lost tradition? Ancient people lent their horse to others willingly. Nobody does it nowadays.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「史料には残っていないが、昔は自分の馬を他人に貸してやるような信頼関係と思いやりがあった。今では誰もそんな事はしない。」

Translated by へいはちろう

今回の文の前半部には「昔の歴史の記録官は不確かな事は記録せずに空白にした。(慎重であった)」という解釈もあるのでござるが、地の文を素直に読みといてみたでござる。

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孔子の論語 衛霊公第十五の二十五 吾の人に於けるや、誰をか毀り誰をか誉めん

孔子の論語の翻訳414回目、衛霊公第十五の二十五でござる。

漢文
子曰、吾之於人也、誰毀誰譽、如有所譽者、其有所試矣、斯民也、三代之所以直道而行也。

書き下し文
子曰わく、吾(われ)の人に於(お)けるや、誰をか毀(そし)り誰をか誉めん。如(も)し誉むる所の者あらば、其れ試(こころ)みる所あらん。斯(こ)の民や、三代の直道(ちょくどう)にして行う所以(ゆえん)なり。

英訳文
Confucius said, “I never praise or blame others without reasons. I always have a reason when I praise someone. Everyone is a descendant of Xia, Yin or Zhou and they have succeeded to their ancestors’ nature.

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「私は無闇に人を褒めたり非難したりしない。人を褒める時には必ず理由がある。全ての人々は夏・殷・周の三代のいずれかの子孫でその性質を受け継いでいるのだから。(無闇に褒めたり非難してはいけない)」

Translated by へいはちろう

理由なく人を非難しないのは当然だとしても、理由なく人を褒めないというのは言葉を大切にする孔子ならではでござるな。

人の良いところを見つけて褒めるならまだしも、意味もなく他人をやたらと褒めても「おべっか使い」として信頼を失うだけでござる。

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孔子の論語 衛霊公第十五の二十四 己の欲せざる所は人に施すこと勿かれ

孔子の論語の翻訳413回目、衛霊公第十五の二十四でござる。

漢文
子貢問曰、有一言而可以終身行之者乎、子曰、其恕乎、己所不欲、勿施於人也。

書き下し文
子貢(しこう)問うて曰わく、一言にして以て終身(しゅうしん)これを行うべき者ありや。子曰わく、其れ恕(じょ)か。己の欲せざる所、人に施すことな勿(な)かれ。

英訳文
Zi Gong asked, “Is there any words that I have to obey my whole life?” Confucius replied, “It is thoughtfulness. Do to others as you would be done by.”

現代語訳
子貢(しこう)が尋ねました、
「一生守り続けるべき、そんな言葉がありますか?」
孔子は、
「思いやりだな。自分がされて嫌な事を他人にしてはいけない。」
と答えられました。

Translated by へいはちろう

子貢(しこう:姓は端木、名は賜、字は子貢。詳細は公冶長第五の九に。)

顔淵第十二の二でも、「己の欲せざる所は人に施すこと勿かれ」とおっしゃっているでござるな。

また公冶長第五の十二で子貢が自分から同じような事を言い出した時は、「お前には無理だ。」と一刀両断されておられるでござる。

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孔子の論語 衛霊公第十五の二十三 君子は言を以て人を挙げず、人を以て言を廃せず

孔子の論語の翻訳412回目、衛霊公第十五の二十三でござる。

漢文
子曰、君子不以言擧人、不以人廢言。

書き下し文
子曰わく、君子は言を以て人を挙(あ)げず、人を以て言を廃(はい)せず。

英訳文
Confucius said, “A gentleman never recommends a person because of his words, and never rejects opinions because of who said them.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「人格者は言う事が立派だという理由で人を推薦したりしない、誰が言ったからという理由で意見を拒んだりもしない。」

Translated by へいはちろう

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孔子の論語 衛霊公第十五の二十二 君子は矜にして争わず、群して党せず

孔子の論語の翻訳411回目、衛霊公第十五の二十二でござる。

漢文
子曰、君子矜而不爭、羣而不黨。

書き下し文
子曰わく、君子は矜(きょう)にして争わず、群(ぐん)して党(とう)せず。

英訳文
Confucius said, “Strict as he is, a gentleman never quarrels. Although he has a wide circle of friends, he never forms a party.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「人格者は厳格だが他人と言い争ったりしない、広く交際をするが徒党を組んだりしない。」

Translated by へいはちろう

子路第十三の二十三にも似たような文があるでござるな。

実際には孔子の死後の春秋戦国時代の中華大陸では多くの文化人が諸子百家を構成し、それぞれが入り乱れて哲学論争を繰り広げるのでござる。君子か否かは目的や結果が建設的であるかどうかでござるな。

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