論語」カテゴリーアーカイブ

孔子の論語 為政第二の十一 故きを温めて新しきを知る

 孔子の論語の翻訳27回目、為政第二の十一でござる。

漢文
子曰、温故而知新、可以爲師矣。

書き下し文
子曰わく、故きを温めて新しきを知る、以て師と為るべし。

英訳文
Confucius said, “If you learn from the history and understand the present age, you can become an excellent teacher.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「古き(歴史や伝統や古典)を学んで新しき(現代)を良く理解して、それらを生かす事が出来たならば、優れた師(先生)となる事が出来るだろう。」

Translated by へいはちろう

あまりにも有名すぎる今回の文章、こういった文を翻訳するのは非常に難しいでござるな。そもそも古注(魏の何晏による注釈書)や新注(南宋の朱子による注釈書)の例を出す以前に中国人や日本人にとっても様々な解釈が出来るのが論語でござる。今回「古き」はhistory、「新しき」をpresent ageと対比させて訳したのでござるが、出来ればもっと解釈に幅がでる様に訳したかったでござる。ただ最も避けたい訳は英語圏の方の理解をたすけるために無駄に長く説明的な訳をする事でござる。 「推して知るべし」、自ら考えず論語を理解するなど不可能でござる・・・と随分偉そうになったしまったでござるが、英語訳に対するアドバイスお待ちしているでござる。現代語訳についてのツッコミはどうか御勘弁願いたい。

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孔子の論語 為政第二の十 人焉んぞ捜さんや

 孔子の論語の翻訳26回目、為政第二の十でござる。

漢文
子曰、視其所以、觀其所由、察其所安、人焉捜哉、人焉捜哉。

書き下し文
子曰わく、其の以(な)す所を視、其の由る所を観、其の安んずる所を察すれば、人焉(いずく)んぞ捜(かく)さんや、人焉んぞ捜さんや。

英訳文
Confucius said, “Watch his deeds, See his past, guess his future, and you will understand his personality. How on earth can he conceal his personality?”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「その人の行動を見て、現在に到る過去の経歴を観て、未来の姿を推察すれば、その人の人格を理解する事が出来るだろう。いったいどの様に(その人は)人格を覆い隠す事が出来るだろうか?」

Translated by へいはちろう

今回の文は孔子の人物観察法でござる。シンプルであまりコメントのしようが無いでござるな。しかし人物を見る側に偏見や知識不足があればどんな方法で人を見ても間違った結論が出るものでござる。

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孔子の論語 為政第二の九 回や愚ならず

孔子の論語の翻訳25回目、為政第二の九でござる。

漢文
子曰、吾與囘言終日、不違如愚、退而省其私、亦足以發、囘也不愚。

書き下し文
子曰わく、吾回と言うこと終日、違(たが)わざること愚なるが如し。退きて其の私を省(み)れば、亦以て発するに足れり。回や愚ならず。

英訳文
Confucius said, “Yan Hui never objects to me like a fool when I discuss with him all day long. But his words and deeds after that, are almost the same as my words mean. Yan Hui is far from a fool.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「私が一日中顔回(がんかい)と話をしても、彼はまるで愚か者のように一度も反論をしない。しかしその後の彼の言葉や行動を見ていると、私の言葉の意味するところとほぼ同一である。顔回は愚か者どころではない(非常に賢明だ)。」

Translated by へいはちろう

今回の文は孔子門下の中でも最も優秀だったと言われた顔回のエピソードでござる。「論語読みの論語知らず」の言葉がある通り、知識や教養としての儒学を学ぶ人は多いのござるが、顔回は常に行動を伴うようにしていたそうでござる。孔子の後継者と目されながら若くして亡くなり、それを聞いた孔子が「ああ、天は我をほろぼせり」と言ったと伝えられているのは有名でござるな。

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孔子の論語 為政第二の八 子夏孝を問う。子曰わく色難し

 孔子の論語の翻訳24回目、為政第二の八でござる。

漢文
子夏問孝、子曰、色難、有事弟子服其勞、有酒食先生饌、曾是以爲孝乎。

書き下し文
子夏、孝を問う。子曰わく、色難(かた)し。事あれば、弟子(ていし)其の労に服し、酒食あれば先生に饌(せん)す。曾(すなわ)ち是れを以て孝となさんや。

英訳文
Zi Xia asked about filial piety and Confucius replied, “It is difficult to manage our facial expression. If you take on the burden of elders and serve foods and drinks to them before your meal, can we call you a dutiful person really?”

現代語訳
子夏が孔子に孝について問い、孔子はこう答えられました、
「顔の表情をどうするかが難しい。もしお前が年長者に代わって雑務を引き受け、酒食を自分より先に年長者に供したとして、それだけで本当に孝行者と言えるだろうか?」

Translated by へいはちろう

今回の文は例え他人のためになる事でも、嫌々やっていては意味が半減する、それを表情に出すなど持っての他、という事でござるかな。「情けは人の為ならず」と言うことわざがあるのでござるが、要するに良いことは「当たり前の事」としてせねばならず、見返りを求めたり、義務としてやっていてはダメだと言うわけでござるな。

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孔子の論語 為政第二の七 敬せずんば何を以て別たん

孔子の論語の翻訳23回目、為政第二の七でござる。

漢文
子游問孝、子曰、今之孝者、是謂能養、至於犬馬、皆能有養、不敬何以別。

書き下し文
子游、孝を問う。子曰わく、今の孝は是(これ)能(よ)く養なうを謂(い)う。犬馬に至るまで皆能く養なうこと有り。敬せずんば何を以て別(わか)たん。

英訳文
Zi You asked about filial piety and Confucius replied, “Nowadays, they say that filial piety is to provide for the parents well. But with only material aid, that is similar to feeding domestic animals well. Without a respect, can you distinguish your parents and animals?”

現代語訳
子游が孔子の孝について問い、孔子はこう答えられました、
「近頃、孝とは両親を(物質的に)よく養うことだと言われている。しかしそれだけでは家畜によく餌をやることに似ている。両親に対する敬意なくして、どのようにこれらを区別すると言うのか。」

Translated by へいはちろう

まったく孔子のおっしゃる通りでござるな。むしろ両親だけに留まらず相手に対する敬意なくして一体どのように人間とその他を区別すると言うのか?どんな相手に対しても一定の敬意を持って接する様に常に心がけたいものでござるな。

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