孔子の論語の翻訳75回目、里仁第四の九でござる。
漢文
子曰、士志於道、而恥惡衣惡食者、未足與議也。
書き下し文
子曰わく、士、道に志(こころざ)して、悪衣悪食(あくいあくしょく)を恥ずる者は、未(いま)だ与(とも)に議(はか)るに足らず。
英訳文
Confucius said, “Even a person who aspires to pursue his studies, if he feels shame at poor clothes and meals, is not worthy to discuss.”
現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「学問の道を志しながら粗末な衣服や食事に甘んじる事を恥じる様な人間は、学問を語り合うのに値しない。」
Translated by へいはちろう
学問を志す者は粗衣粗食を恥じるべからず、まったく持って然りでござる。しかし体裁を重んじる儒学の他の主張とは若干矛盾しているでござるな。
まず自らを律するべきであるのに他者を扱う時、いわんや他者から扱われる時には礼に適った衣食で無いと「無礼」だとする。徹底した節約を奨励した墨家などが儒学におけるこれらの矛盾を突いているでござる。
そこで仁でござるな、他者への思いやりの気持ちがあれば何の矛盾も無くなるのでござる。逆に仁が無ければ粗衣粗食も学問も自己満足で終わってしまう。という事でござるな。
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