学問のすすめの翻訳、二編 段落五でござる。
現代語訳
この様な悪い慣習が広まった原因を探ってみると、その大元は人間は皆平等であるという大原則を理解せずに、貧富強弱といった上辺の有様をいいことに、強い政府が弱い人民の権利を妨害してきた事にある。だから人は皆平等の権利を持っているという事を忘れてはならない。これが人間の世界で最も大切な事である。西洋の言葉ではこれを「レシプロシチ (reciprocity)」とか「エクウヲリチ (equality)」と言う。初編の冒頭で私が言った、「全ての人間は平等」とはこの事である。
英訳文
The cause of such bad customs prevailed, was that they didn’t understand the principle that everyone is equal and the government abused its strength to its weak people and violated their rights. So you must not forget that everyone has equal rights. This is the most important thing in the human society. In the western words, it is called “reciprocity” or “equality”. This is what I said, “everyone is equal”, in the beginning of the first chapter.
Translated by へいはちろう
現代人の我々が普通に読むと、何度も同じ言葉を繰り返して少々しつこいくらいに感じるかも知れないでござるが、おそらく福沢諭吉の心境は切実だったのでござろうな。例えるならば地動説を主張したガリレオみたいな心境でござろうか。学問のすすめが書かれたのは明治に入ってからの事でござるが、それでも江戸時代の身分制度の影響が人々の間に色濃く残ってる事は福沢が自伝で言及しているでござる。
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