孔子の論語 季子第十六の七 君子に三戒あり

孔子の論語の翻訳438回目、季子第十六の七でござる。

漢文
孔子曰、君子有三戒、少之時、血氣未定、戒之在色、及其壯也、血氣方剛、戒之在鬪、及其老也、血氣既衰、戒之在得。

書き下し文
孔子曰わく、君子に三戒(さんかい)あり。少(わか)き時は血気未だ定まらず、これを戒(いまし)むること色に在(あ)り。其の壮なるに及んでは血気方(まさ)に剛(ごう)なり、これを戒むること闘(とう)に在り。其の老いたるに及んでは血気既(すで)に衰(おとろ)う、これを戒むること得(とく)に在り。

英訳文
Confucius said, “There are three admonitions for gentlemen. In young age, his passion is unstable. So he should control his sexual desire. In middle age, his passion becomes dynamic. So he should control his competitive spirit. In old age, his passion is declining. So he should control his desire for wealth.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「人の手本たるべき君子には三つの戒めがある。若い時には血気や感情が不安定だから、色欲を抑制せねばならない。壮年期には血気盛んになるので、闘争心を抑制せねばならない。老いると血気は衰えてくるが、これまでに得たものに対する執着心やさらに得たいと思う欲望を抑制せねばならない。」

Translated by へいはちろう

なかなか現代にも通じる深いお言葉でござるが、だとしたら老いてなお財産や名誉への執着を失わない御仁の欲望はいったいどこから来るのでござろうか?

陳腐なことをいえば財産や名誉があれば他人から尊敬される、他人から敬意もって接してもらいたいという気持ちが執着につながるのかも知れないでござるな。孔子はそれを見抜いていたからこそ、孝や悌を説いたのでござろう。

季子第十六の英訳をまとめて読みたい御仁は本サイトの論語 季子第十六を英訳を見て下され。