孔子の論語 陽貨第十七の二十四 人の悪を称する者を悪む

孔子の論語の翻訳469回目、陽貨第十七の二十四でござる。

漢文
子貢問曰、君子亦有惡乎。子曰、有惡、惡称人之惡者、惡居下流而謗上者、惡勇而無禮者、惡果敢而窒者。曰、賜也亦有惡乎、惡徼以爲知者、惡不孫以爲勇者、惡訐以爲直者。

書き下し文
子貢(しこう)問いて曰わく、君子も亦(また)悪(にく)むこと有りや。子曰わく、悪むこと有り。人の悪を称する者を悪む。下(しも)に居て上(かみ)を謗る者を悪 む。勇にして礼なき者を悪む。果敢にして窒(ふさ)がる者を悪む。曰わく、賜(し)や亦悪むこと有りや。徼(かす)めて以て知と為す者を悪む。不孫(ふそん)にして以て勇と為す者を悪む。訐(あば)きて以て直と為す者を悪む。

英訳文
Zi Gong asked, “Does even a gentleman detest someone?” Confucius said, “Yes, he does. He detests a person who criticizes others, a person who slanders a superior, a courageous person without politeness and a decisive person who has a mind impervious to reason. Zi Gong, do you detest someone?” Zi Gong replied, “I detest a person who plagiarizes others’ ideas, a person who thinks his arrogance is courage and a person who thinks he is honest by exposing others’ faults.”

現代語訳
子貢(しこう)が尋ねました、
「人の手本たるべき人格者でも他人を憎む事がありますか?」
孔子は、
「ある。人の悪口を言う者を憎む。部下でありながら上司を誹謗する者を憎む。勇気がありながら礼を弁えない者を憎む。決断力がありながら道理を弁えない者を憎む。」
と答えられました。そして孔子が、
「お前は他人を憎む事があるかね?」
と聞くと、子貢は、
「他人の知恵を掠め取って自分の知恵にする者を憎みます。傲慢な自分を勇気があると思っている者を憎みます。他人の欠点を暴いて自分が正直だと思っている者を憎みます。」
と答えました。

Translated by へいはちろう

ここまで並べ立てると酷い人間もいるものだと他人事みたいに感じてしまうのでござるが、注意しないと誰でも簡単に陥ってしまう様なありがちな欠点でござるな。自戒、自戒。

陽貨第十七の英訳をまとめて読みたい御仁は本サイトの論語 陽貨第十七を英訳を見て下され。