孔子の論語 憲問第十四の四十五 是を賊と為す、杖を以て其の脛を叩つ

孔子の論語の翻訳388回目、憲問第十四の四十五でござる。

漢文
原壌夷俟、子曰、幼而不孫弟、長而無述焉、老而不死、是爲賊、以杖叩其脛。

書き下し文
原壌(げんじょう)、夷(い)して俟(ま)つ。子曰わく、幼(よう)にして孫弟(そんてい)ならず、長(ちょう)じて述(の)ぶること無く、老いて死せず。是(これ)を賊と為す。杖を以(もっ)て其(そ)の脛(はぎ)を叩(う)つ。

英訳文
Yuan Rang had been sitting and waiting for Confucius. Confucius said, “He was not obedient when he was a child. He was not anything when he was an adult. He is still living after getting old in vain. Such a person is a public enemy.” Confucius hit Yuan Rang’s shin with his cane.

現代語訳
昔なじみの原壌(げんじょう)が道にうずくまって孔子を待っていた。孔子は、
「子供の頃には反抗的で、大人になっても大した事もせず、無駄に年を取ってまだ死なずにいる。こんな輩こそ社会に害を為す賊と言うのだ。」
とおっしゃり、その脛を杖で叩きました。

Translated by へいはちろう

いかに孔子とはいえこれは眉をひそめずにはいられないでござるな。君子ならば小人を叩く事が許されるという訳ではなかろうと思うのでござるが、

老子の第三十八章にはこういう人間に対する批判があるでござる。

「礼を重んじる人間は他人が礼をもって答えないと無理やり自分と同じ事をさせようとする。~略~ とくに礼などというものは、人々から真心や信義が失われた後に作られたものであって、これこそが社会を乱すもとなのだ。」

孔子がどうこうよりも、仁の心を持たずに他人に自分の価値観を強要する人間は後を絶たないでござるな。気をつけたいと思う次第。

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