孔子の論語 子張第十九の二十二 夫子焉にか学ばざらん、而して亦何の常師かこれ有らん

孔子の論語の翻訳504回目、子張第十九の二十二でござる。

漢文
衛公孫朝問於子貢曰、仲尼焉學、子貢曰、文武之道、未墜於地、在人、賢者識其大者、不賢者識其小者、莫不有文武之道焉、夫子焉不學、而亦何常師之有。

書き下し文
衛の公孫朝(こうそんちょう)、子貢(しこう)に問いて曰わく、仲尼(ちゅうじ)焉(いずく)にか学べる。子貢が曰わく、文武の道、未(いま)だ地に墜ちずして人に在り。賢者は其の大なる者を識(しる)し、不賢者は其の小なる者を識す。文武の道あらざること莫(な)し。夫子焉にか学ばざらん。而(しか)して亦(また)何の常師(じょうし)かこれ有らん。

英訳文
Gongsun Chao of Wei asked Zi Gong, “Who was a Confucius’ teacher?” Zi Gong replied, “The way of King Wen and King Wu has been in existence around the people. The wise remember important things of those. Others remember other things of those. There are the way of King Wen and King Wu everywhere. Confucius has learned from anyone. So he did not have a specific teacher.”

現代語訳
衛の公孫朝(こうそんちょう)が子貢(しこう)に尋ねました、
「孔子は一体誰から礼楽を学んだのでしょうか?」
子貢は、
「周の文王、武王の道はまだ人々の間に生き続けています。賢者はその中の重要な物を伝え、そうでない者はあまり重要でない物を伝えています。文王、武王の道はどこででも学べるのです。孔子は誰からでも学ばれました。だから特定の師を持つ必要などなかったのです。」
と答えました。

Translated by へいはちろう

衛の公孫朝(こうそんちょう:衛の大夫。詳細不明。)

子貢(しこう:姓は端木、名は賜、字は子貢。詳細は公冶長第五の九に。)

文王(ぶんおう:武王の父。詳細は泰伯第八の二十に。)

武王(ぶおう:周の創始者、詳細は八佾第三の二十五に。)

子路第十三の二十二の解説でも言ったのでござるが、幼い頃は母親や親戚から礼を学んで、成人してからは書物を読んだり古老に聞いたりして礼楽を学んだのでござろう。また諸国を巡ってる間もそれぞれの国に伝わる礼楽を研究されたのではないでござろうか。

たゆまぬ学問の集大成が孔子という人格なのでござるな。

子張第十九の英訳をまとめて読みたい御仁は本サイトの論語 子張第十九を英訳を見て下され。