北町奉行、遠山左衛門尉様、御出座ぁ~!!

さて今回のまげたんは少し日本史レベルを上げていこうと思う次第。

北町奉行、遠山左衛門尉様、御出座ぁ~!!
(きたまちぶぎょう、とうやまさえもんのじょうさま、ごしゅつざぁ~)

この有名なフレーズは「遠山の金さん」でお馴染みでござるが、これを英語に訳してみようとすると非常に困る。
簡単に

North-town bugyo, Sir Touyama saemon-jo is coming!

なんて訳しても別に構わないのでござるが、これではおそらく海外の方には伝わらないでござろう、

それ以前に左衛門尉って何よ?
とぶっちゃけ日本人でも意味が解らない。

まずは北町奉行から解説すると当然奉行所のトップの一人でござるが、北町と南町と2つの区域を受け持っている訳ではなくて一月交代で役割を分担していただけでござる。そして奉行所というのは江戸の町の行政・司法を担う役所の事でござる。今で言えば市長みたいな物でござるが、その権限は非常に強くここはmayor(市長)ではなくmagistrate(行政長官)を当てた方が良いでござるな。北町の方は正式には北南と分けて呼称して無かったので江戸町奉行・Magistrate of Edo cityと訳すことにしたでござる。

次に左衛門尉(さえもんのじょう)でござるが、律令制度において左右二つある衛門府の尉(じょう)と言う役職で金さんの官位を表しているのでござる。金さんの時代には単なる位を表しているだけでござるが平安の時代には御所の門や都の治安を守る武官であり、源義経もこの官位を後鳥羽上皇から任命されて兄の源頼朝の不興を買ったというのは有名な史実で、この時代の衛門尉の俗称が判官であったことから判官贔屓と言う言葉が生まれたというのもこれまた有名な話でござるな。

さてこれを英語に訳すにあたって、とりあえず左衛門と尉に別けるでござる。なぜなら左衛門は部局の名前であり、尉は位を表しているからでござるよ。左衛門を少々強引ながら英語にするとLeft imperial guards(左の近衛隊)と言ったところでござろうか?尉は衛門府で督(とく)、佐(すけ)に次いで3番目に偉い位でアメリカ陸軍の階級でいうとCaptainでござる。昔の大尉とかと同じでござるな。

つまり左衛門尉はCaptain, Left imperial guardsと訳すことができるでござる。ちなみに感覚的な偉さでは残念ながらほとんど偉くない感じになってしまうでござるよ。

そこでこれまでの事をまとめると

北町奉行、遠山左衛門尉様、御出座ぁ~!!

Magistrate of Edo city, Left imperial guards captain Touyama is coming!

となる訳でござるな。
結局これで外国の方に伝わるかといえば伝わらないと思うのでござるが、まず我々が知っていないと説明も出来ないものなので日本の事を良く知ることも大切だと思う次第。

なんか偉そうでござるが、単純に拙者が歴史オタクなだけでござる。