孔子の論語 雍也第六の十九 人の生くるは直し

孔子の論語の翻訳139回目、雍也第六の十九でござる。

漢文
子曰、人之生也直、罔之生也、幸而免。

書き下し文
子曰わく、人の生くるは直(なお)し。これを罔(し)いて生くるは、幸(さいわい)にして免ぬがるるなり。

英訳文
Confucius said, “Life must be straight. If you can live a warped life, you are only lucky.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「人がこの世に生かされているのは真っ直ぐに生きているからだ。もし曲がった人生を送っている者がいても、それはこれまで運が良かっただけだ。」

Translated by へいはちろう

(ちょく)という字は真っ直ぐと言う意味なのでござるが、転じて素直・率直などの素朴なイメージと、清廉・潔白などの曲がった事を憎むイメージがあるでござるな。ここでは後ろに「罔(し)いて生くる」と、「曲がった人生」のイメージと対比させているので後者の意味合いの方が強い印象でござる。

ただこの二つは根本的には同じ様なもので、素朴な生き方を重んじた老子も、

天網恢恢、疏にして失せず。- 老子 第七十三章

とおっしゃっているでござる。

雍也第六の英訳をまとめて読みたい御仁は本サイトの論語 雍也第六を英訳を見て下され。