孔子の論語 公冶長第五の二十六 老者はこれを安んじ、朋友はこれを信じ、少者はこれを懐けん

孔子の論語の翻訳118回目、公冶長第五の二十六でござる。

漢文
顔淵季路侍、子曰、盍各言爾志。子路曰、願車馬衣輕裘、與朋友共、敝之而無憾、顔淵曰、願無伐善、無施勞、子路曰、願聞子之志、子曰、老者安之、朋友信之、少者懐之。

書き下し文
顔淵(がんえん)・季路(きろ)侍(じ)す。子曰わく、盍(なん)ぞ各々(おのおの)爾(なんじ)の志(こころざし)を言わざる。子路(しろ)が曰わく、願わくは車馬(しゃば)衣裘(いきゅう)、朋友(ほうゆう)と共にし、これを 敝(やぶ)るとも憾(うら)み無けん。顔淵曰わく、願わくは善に伐(ほこ)ること無く、労(ろう)を施(ほどこ)すこと無けん。子路が曰わく、願わくは子の志を聞かん。 子曰わく、老者(ろうしゃ)はこれを安んじ、朋友はこれを信じ、少者はこれを懐(なつ)けん。

英訳文
Yan Yuan and Zi Lu were attending on Confucius. Confucius said, “Why don’t you tell me your ambition?” Zi Lu said, “I wish to share my horses, vehicles and clothes with my friends. And I don’t want to get angry even if they got damaged.” Yan Yuan said, “I wish I would not be arrogant about my good deeds. And I don’t want to give people troubles.” Zi Lu asked, “Would you tell me your ambition, master?” Confucius replied, “I wish to be a person who makes the old people comfort, friends trust him and the young follow him.”

現代語訳
顔淵(がんえん:顔回)と季路(きろ:子路)が孔子の側に仕えていました。
孔子が、
「お前たちの志を聞かせてくれないか?」
と言われ、子路(しろ)は、
「馬車でも馬でも衣服でも何でも友人と分かち合い、例えそれらを駄目にされても怒らない人間になりたいです。」
と答え、顔淵は、
「自分の善い行いに自惚れる事無く、人に苦労を押し付けない人間になりたいです。」
と答えました。
そして子路が孔子に、
「どうか先生の志を聞かせていただけませんか?」
と聞いたので、孔子は、
「お年寄りから安心され、友人から信頼され、年少者から慕われる人物になりたいものだ。」
とおっしゃいました。

Translated by へいはちろう

顔淵(がんえん:顔回とも言う。孔門十哲の一人、詳細は公冶長第五の九に。)

季路(きろ:子路とも言う。孔門十哲の一人、詳細は公冶長第五の七に。)

ほのぼのとした師と弟子の一幕でござるな。それぞれの人柄がよく表れていて和んでしまう文でござる。

ちなみに拙者は「若い間は時間を惜しんで良く学び、年老いてそれらを全て忘れ去る様な人間」になりたいでござる。

公冶長第五の英訳をまとめて読みたい御仁は本サイトの孔子の論語 公冶長第五を英訳を見て下され。