孔子の論語 子罕第九の十八 吾未だ徳を好むこと色を好むが如くする者を見ざるなり

孔子の論語の翻訳226回目、子罕第九の十八でござる。

漢文
子曰、吾未見好徳如好色者也。

書き下し文
子曰わく、吾未だ徳を好むこと色を好むが如くする者を見ざるなり。

英訳文
Confucius said, “I have not seen a person who loves virtue as he loves a beauty yet.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「私は美人を愛するように自然と美徳を愛する人物に出会った事がない。」

Translated by へいはちろう

それは美人を愛することは本能からおこる気持ちだが、美徳を愛することは理性からおこる気持ちだからでござるな。

「徳」という言葉に対する孔子の解釈の限界がここに露呈しているでござるな。一方、老子のいう「徳」にはそもそも美醜善悪の区別は無いのでござる。

上徳は徳とせず、ここを以って徳あり。下徳は徳を失わざらんとす、ここを以って徳なし。 – 老子 第三十八章

子罕第九の英訳をまとめて読みたい御仁は本サイトの論語 子罕第九を英訳を見て下され。