孔子の論語 里仁第四の二 仁者は仁に安んじ、知者は仁を利とす

 孔子の論語の翻訳68回目、里仁第四の二でござる。

漢文
子曰、不仁者不可以久處約、不可以長處樂、仁者安仁、知者利仁。

書き下し文
子曰わく、不仁者(ふじんしゃ)は以(もっ)て久しく約(やく)に処(お)るべからず。以て長く楽しきに処るべからず。仁者は仁に安んじ、知者は仁を利とす。

英訳文
Confucius said, “People without benevolence cannot endure a wretched life and cannot continue a comfortable life. People with benevolence can live a peaceful life. Wise people know the advantages of benevolence.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「仁愛の心を持たぬ人々はみじめな生活に耐える事が出来ないし、安楽な生活を持続させる事も出来ない。仁愛の心を持つ人々は安らいだ生活をする事が出来るし、知恵ある人々は仁愛の利点を知っているものだ。」

Translated by へいはちろう

今回の文章をいい表す良いことわざがあるでござるな、
「情けは人の為ならず」

このことわざの通釈は
「利己(自分だけの利益)にとらわれず人の為にする事が社会全体の為になり、結果として自分に利益をもたらす。」
と言う意味でござるが、

この文章の解釈は
「利己にとらわれず人の為になる事を当たり前の事として実践すれば、自分の利益のために色々と思い悩んでいた事を忘れる事が出来て心やすまる事が出来る。」
と言う意味でござる。

そして
「本当に知恵ある人は利己を忘れる事の利点を理解している。」
と言う訳でござる。

利己を忘れるなんて事が簡単に出来るとは思えないのでござるが、利己に執着する事もまた難しいと思うので別に理想論という程でも無いと思う次第。

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