孔子の論語 里仁第四の一 仁に里るを美しと為す

 孔子の論語の翻訳67回目、里仁第四の一でござる。

漢文
子曰、里仁爲美、擇不處仁、焉得知。

書き下し文
子曰わく、仁(じん)に里(お)るを美(よ)しと為(な)す。択(えら)んで仁に処(お)らずんば、焉(いずく)んぞ知なることを得ん。

英訳文
Confucius said, “It is beautiful to attach importance to benevolence. If a person chooses his own benefit and thinks little of benevolence, he is never wise.

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「仁愛の心に重きを置くことは美しいことだ。もし自分の利益のために仁愛を軽んじるようなら、賢明な人間だとは決して言えない。」

Translated by へいはちろう

さて論語を語るに「」とは何か、という事は避けては通れない事でござるな。日本人であれば具体的に説明は出来なくてもぼんやりとしたイメージは持っているものだと思うのでござるが、拙者は真心と度々表現させていただいているでござる。

孟子によると仁とは惻隠の情、誰もが生まれ持っている人間の善性であると説いており一例として、「赤ん坊が井戸から落ちようとしている、その場に居合わせた者は自らの利害や知識とは別に無意識に手が出る。これこそ誰しも生まれ持つ隠された善性の表れである。」と挙げて性善説の根拠とされているでござるな。

同時に義を「悪を羞じる心」と説いていて、弱きを助け悪しきをくじく行為を「仁義」と呼ぶのはそのためでござるな。

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