月別アーカイブ: 2008年9月

孔子の論語 郷党第十の二十三 色みて斯に挙り、翔りて而して後に集まる

孔子の論語の翻訳263回目、郷党第十の二十三でござる。

漢文
色斯擧矣、翔而後集、曰、山梁雌雉、時哉、時哉、子路共之、三嗅而作。

書き下し文
色(いろ)みて斯(ここ)に挙(あが)り、翔(かけ)りて而(しか)して後に集(とど)まる。曰わく、山梁(さんりょう)の雌雉(しち)、時なるかな、時なるかな。子路(しろ)これを共(きょう)す。三たび嗅ぎて作(た)つ。

英訳文
1. “Birds take off by seeing human. They fly about for some time, then they land on the safe place.” Confucius said about this poem, “There is a female pheasant on a mountain bridge. It’s timely. It’s timely.” Zi Lu thought Confucius told him that he wanted to eat it. Zi Lu caught and cooked it for Confucius. Confucius did not eat it but smelled it three times.

2.”Birds take off by seeing human. They fly about for some time, then they land on the safe place.” Confucius said about this poem, “There is a female pheasant on a mountain bridge. It may know timing. It may know timing.” Zi Lu fed it. But it did not eat but smelled food three times, and flied away.

現代語訳
1.「鳥は人を見て飛び立ち、しばらく飛び回って安全な場所へ着地する」
孔子がこの詩を思い出しておっしゃいました、
「山の橋の上に雌のキジがいる。ちょうど良い、ちょうど良い。」
子路は孔子がこのキジを食べたがってると思い、捕らえて調理して孔子にだした。孔子は三度匂いを嗅がれただけで食べずに席から立ち上がられました。

2.「鳥は人を見て飛び立ち、しばらく飛び回って安全な場所へ着地する」
孔子がこの詩を思い出しておっしゃいました、
「山の橋の上に雌のキジがいる。いつ飛び立つかな?いつ飛び立つかな?。」
子路がこのキジに餌をやると、キジは餌の匂いを三度嗅いだだけで食べずに飛び去ってしまいました。

Translated by へいはちろう

子路(しろ:孔門十哲の一人。詳細は公冶長第五の七に。)

1は古注の解釈で、2は新注の解釈でござる。

両方の解釈に共通している事は、孔子が詩を愛されてその情緒を大事にされていたという事でござるな。古注の方では子路がその情緒を理解せずに無粋な真似をしたと解釈していて、新注では逆に場の情緒に彩りを与える行動をしているのが実に面白い違いでござる。

新注の解釈をさらに掘り下げていくと放浪の身であった孔子自身をキジになぞらえて見る事ができるでござるな。各国を転々として理想の実現を追い求めるが理想が適わぬと知ればまた次の国へ旅を続ける孔子は、もしかしたら自分をキジに見立てていつその国を離れるべきか思案していたのではないか?と考えるのは考えすぎでござろうか?

今回で郷党第十は終了し、明日からは先進第十一でござる。

郷党第十の英訳をまとめて読みたい御仁は本サイトの論語 郷党第十を英訳を見て下され。

孔子の論語 郷党第十の二十二 車に升りては、必ず正しく立ちて綏を執る

孔子の論語の翻訳262回目、郷党第十の二十二でござる。

漢文
升車、必正立執綏、車中不内顧、不疾言、不親指。

書き下し文
車に升(のぼ)りては、必ず正しく立ちて綏(すい)を執(と)る。車の中にして内顧(ないこ)せず。疾言(しつげん)せず、親指せず。

英訳文
Confucius always stood upright and held a strap when he rode on a carriage. He never looked back, never spoke loudly and never pointed his finger to anyone.

現代語訳
馬車に乗る時孔子は、まっすぐに立って体をささえる綱に捕まりました。馬車の上では後ろを振り返ったり、大声で話したり、人を指差したりはされませんでした。

Translated by へいはちろう

郷党第十の英訳をまとめて読みたい御仁は本サイトの論語 郷党第十を英訳を見て下され。

孔子の論語 郷党第十の二十一 斉衰の者を見ては、狎れたりと雖も必ず変ず

孔子の論語の翻訳261回目、郷党第十の二十一でござる。

漢文
子見齊衰者、雖狎必變、見冕者與瞽者、雖褻必以貌、凶服者式之、式負版者、有盛饌必變色而作、迅雷風烈必變。

書き下し文
子、斉衰(しさい)の者を見ては、狎(な)れたりと雖(いへど)も必ず変(へん)ず。冕者(べんしゃ)と瞽者(こしゃ)とを見ては、褻(せつ)と雖も必ず貌(かたち)を以(もっ)てす。凶服(きょうふく)の者にはこれに式(しょく)す。負版(ふはん)の者に式す。盛饌(せいせん)あれば必ず色を変じて作(た)つ。迅雷(じんらい)風烈(ふうれつ)には必ず変ず。

英訳文
Confucius always straightened up when he saw a person wearing mourning, even if the person was his friend. He always straightened up when he saw a person wearing full dress or a blind person, even if the person was his friend. He saluted a person wearing mourning. He also saluted a person who held a book of family register of the dead. He always stood up and expressed his gratitude when he was treated. He always straightened up on the day of thunderstorm.

現代語訳
孔子は喪服を着た人に出会った時は、例えそれが友人であっても襟を正して敬意を表された。礼服を着た人や盲人に出会った時も、例えそれが友人であっても緊張した顔つきで敬意を表された。喪服を着た人に対して敬礼をされたが、死者の戸籍を持った役人に対しても敬礼をされた。豪華な食事を御馳走になった時には立ち上がって主人に謝意を表された。雷や風が吹き荒れる日には居住まいを正して天に敬意を表された。

Translated by へいはちろう

前半部は子罕第九の十とほぼ同じ内容でござるな。

郷党第十の英訳をまとめて読みたい御仁は本サイトの論語 郷党第十を英訳を見て下され。

孔子の論語 郷党第十の二十 寝ぬるに尸せず、居るに容づくらず

孔子の論語の翻訳260回目、郷党第十の二十でござる。

漢文
寢不尸、居不容。

書き下し文
寝(い)ぬるに尸(し)せず。居るに容(かたち)づくらず。

英訳文
Confucius did not sleep ungracefully like a corpse and was in a relaxed mood at home.

現代語訳
孔子が寝る時には死体ほどに無様な寝姿を見せる事は無かったが、自宅に居るときには過剰に威儀を正さずくつろいだ雰囲気で過ごされた。

Translated by へいはちろう

中庸の徳があらわれているでござるな。無様な寝相をさらさない程の緊張は保ってはいたが、自宅に居る時には宮殿に居るような過剰な緊張は持たずにリラックスしていた、という事でござる。

極端に緊張したり、だらけすぎたりせずにメリハリを利かせて生活していたのでござるな。

郷党第十の英訳をまとめて読みたい御仁は本サイトの論語 郷党第十を英訳を見て下され。

孔子の論語 郷党第十の十九 朋友死して帰する所なし、曰わく、我に於て殯せよ

孔子の論語の翻訳259回目、郷党第十の十九でござる。

漢文
朋友死無所歸、曰於我殯、朋友之饋、雖車馬、非祭肉、不拜。

書き下し文
朋友(ほうゆう)死して帰(き)する所なし。曰わく、我に於(おい)て殯(ひん)せよ。朋友の饋(おく)りものは、馬車と雖(いえど)も、祭りの肉に非(あら)ざれば、拝(はい)せず。

英訳文
When Confucius’s friend who had no relatives was died, he said, “Let me perform his funeral at my house.” When his friend gave him a present, except meat offered at rites, he never accepted it even if it was a carriage.

現代語訳
身寄りの無い友人が亡くなった時には、「我が家で葬儀を執り行ってあげよう」とおっしゃいました。また友人からの贈り物は、それが例え馬車の様な高価なものであっても、祭祀で捧げられた肉のお裾分け以外は受け取りませんでした。

Translated by へいはちろう

郷党第十の英訳をまとめて読みたい御仁は本サイトの論語 郷党第十を英訳を見て下され。