十七条憲法を翻訳 八に曰く

聖徳太子による十七条憲法の翻訳、第八条でござる。

原文
八曰、群卿百寮、早朝晏退。公事靡盬、終日難盡。是以、遲朝不逮于急。早退必事不盡。

書き下し文
八に曰く、群卿百寮(ぐんけいひゃくりょう)、早く朝(まい)りて晏(おそ)く退(しりぞ)け。公事(こうじ)盬(や)む事靡(な)く、終日(ひねもす)にも尽くし難(がた)し。ここを以(も)って、遅く朝るときは急なるに逮(およ)ばず。早く退けば必ず事(こと)尽くさず。

英訳文
All the ministers and public officers must come to the office early in the morning and must work till late. There are a lot of public duties. It is hard to deal with all of them even if you take a day. Therefore, you cannot deal with an emergency if you come to the office late. And you cannot deal with all your duties if you go home early.

現代語訳
朝廷に仕える官吏たちは、早く出勤して遅くまで働きなさい。公の仕事が尽きるという事は無く、一日かけても終わらせるのは難しいものだ。それだから遅くに出勤したなら急な事態に対処できず、早く帰宅したなら仕事を終わらせる事ができない。

Translated by へいはちろう

官吏たちの勤務時間に関する条文でござるな。なお “早く朝りて晏く退け” と言っても、現代的な時間感覚で捉えることはできない点には注意が必要でござろう。

参考までに言うと律令制における朝廷では、日の出前(4時~6時頃)に参内して巳の刻(10時頃)から午の刻(12時頃)ぐらいに退庁するのが常でござった。朝の内に宮殿内部の朝堂やその庭で政務を行うので日本や東アジア諸国の政権を朝廷と呼ぶようになったと言われているのでござるが、その意味においては聖徳太子の時代に推古天皇の小墾田宮の内庭にて政務を執り行ったのが日本初の “朝廷(朝庭)” でござる。この条文にある “終日にも尽くし難し” という表現はひとつの例えであって、長く見積もっても朝4時から正午までが太子の言うところの “終日” でござろう。朝は確かに早いがお昼前には仕事が終わるので、それに比べると現代人がいかに勤勉か解るというものでござる。

※全条文の英訳を読みたい方は聖徳太子の十七条憲法を英訳をご覧くだされ。