孔子の論語 憲問第十四の五 徳有る者は必ず言あり、言有る者は必ずしも徳あらず

孔子の論語の翻訳348回目、憲問第十四の五でござる。

漢文
子曰、有徳者必有言、有言者不必有徳、仁者必勇、勇者不必有仁。

書き下し文
子曰わく、徳有る者は必ず言あり。言有る者は必ずしも徳あらず。仁者は必ず勇あり。勇者必ずしも仁あらず。

英訳文
Confucius said, “A man of virtue speaks good words. But a man who speaks good words is not always a man of virtue. A benevolent person has courage. But A courageous person is not always a benevolent person.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「徳のある者は善い言葉を話すが、善い言葉を話す人間全てが徳が高いという訳ではない。仁者には勇気があるが、勇気のある人間全てが仁者という訳ではない。」

Translated by へいはちろう

必要条件と十分条件の違いでござるな。

ちなみにこの必要条件・十分条件というのを最初に考え出したのは古代ギリシャの哲学者であるアリストテレスと言われているでござる。このアリストテレスは孔子の中庸の徳と同じメソテースというのを主張したことでも有名で、古代ギリシャの哲学と古代中国の哲学、できればさらに古代インドの哲学を比較検証すると、共通点や差異がとても面白いでござるよ。時代が下っていくにつれて長い年月をかけて相互に影響を与えあう様がとても歴史的ロマンを感じさせてくれるのでござる。

憲問第十四の英訳をまとめて読みたい御仁は本サイトの論語 憲問第十四を英訳を見て下され。