学問のすすめ 三編 段落二 国中の人民に独立の気力なきときは、一国独立の権義を伸ること能わず

学問のすすめの翻訳、三編 段落二でござる。

現代語訳

一身独立して一国独立するという事

 前項で述べているように、国と国との関係は平等であるが、国中の人々に独立の気概がなければ、独立国家としての権利を全うする事はできない。その要点は三つある。

英訳文

As I said in the previous section, every country is equal. But if its people don’t have the spirit of independence, a country cannot fulfill its rights. There are three points on this matter.

Translated by へいはちろう

掲載の都合上、今回の文は非常に短いでござるが、それでもとても深い示唆のある言葉でござるな。儒学を中心に据えたそれまでの日本の統治原理では、まるで父親の言う事をなんでも良く聞く子供のように、人民はお上のやることに疑念を抱いたり反抗したりしてはいけないものでござった。

外敵の恐れのない鎖国した日本ではそれでもなんとか上手くいっていたかも知れないが、西洋諸国の脅威が間近にせまる時代にそう言った幼い子供の様な人民がいざという時に役に立つのか、という福沢の問いがこの後に続くでござる。

国家が人民の権利を擁護すればこそ、人民も国家の独立を維持せんと力を尽くす。逆説的に国家がもし人民の権利を制限しようとするならば、それは国家の独立を危うくしているも同然という事ではないでござろうか。

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