孔子の論語 泰伯第八の十一 驕り且つ吝かならしめば、其の余は観るに足らざるのみ

孔子の論語の翻訳198回目、泰伯第八の十一でござる。

漢文
子曰、如有周公之才之美、使驕且吝、其餘不足觀也已矣。

書き下し文
子曰わく、如(も)し周公(しゅうこう)の才の美ありとも、驕(おご)り且(か)つ吝(やぶさ)かならしめば、其(そ)の余(よ)は観るに足らざるのみ。

英訳文
Confucius said, “If someone is arrogant and stingy, you don’t have to observe him anymore even if he has a lot of talents like Zhougong Dan.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「もし周公(しゅうこう)の様な多くの才能を持っていたとしても、人柄が傲慢でけちん坊であったなら、その他のことについて見定める必要は無い。」

Translated by へいはちろう

周公(しゅうこう:魯国の開祖、周公旦(しゅうこうたん)。孔子が最も尊敬した人物の一人。詳細は八佾第三の十五に)

孔子は人の能力よりも人柄を評価しろ、とおっしゃっているのでござるな。いくら能力が才能があっても、他人に対して傲慢で何でも自分の利益にしないと気がすまない様な人間は確かに周りの人間にとっては迷惑でござるな。

しかし以前にも同じ様な事を言ったのでござるが、他人の人柄を評価する人間がそもそも傲慢で利己的であったならばかえって世の役に立つ才能を殺してしまいかねないのも事実でござる。

人間ならば多少の欠点があって当然でござる。やむを得ず他人を評価しなければならない立場になった時は、まず自分の心の驕りと利己心を戒めてからにしたいものでござる。

泰伯第八の英訳をまとめて読みたい御仁は本サイトの論語 泰伯第八を英訳を見て下され。