孔子の論語 雍也第六の二十六 仁者はこれに告げて、井に仁ありと曰うと雖も、其れこれに従わんや

孔子の論語の翻訳146回目、雍也第六の二十六でござる。

漢文
宰我問曰、仁者雖告之曰井有仁者焉、其從之也、子曰、何爲其然也、君子可逝也、不可陥也、可欺也、不可罔也。

書き下し文
宰我(さいが)、問うて曰わく、仁者はこれに告げて、井(せい)に仁ありと曰(い)うと雖(いえど)も、其(そ)れこれに従わんや。子曰わく、なんすれぞ其れ然らん。君子は逝かしむべきも、陥(おとしい)れるべからざるなり。欺くべきも、罔(し)うべからざるなり。

英訳文
Zai Wo asked, “If a benevolent man was taught that there is a benevolent person in a well, should he follow the person?” Confucius replied, “Why should he do that? A benevolent man is not caught in a snare even if he approached the well. A benevolent man is not deceived even if he listened to wicked person’s words.”

現代語訳
宰我(さいが)が、
「もし仁の人、つまり人格者が井戸の中に偉い人格者がいると教えられたら、彼はその人に従うでしょうか?」
と尋ね、孔子は、
「何故そんな事をせねばならんのだ? 人格者ならば井戸に近づいたとしても、井戸の中まで落ちていくはずがない。騙そうとする人の言葉を聞いていも、騙される訳では無い。」
と答えられました。

Translated by へいはちろう

宰我(さいが:姓は宰、名は予、字は子我。詳細は八佾第三の二十一に。)

論語内で何度も孔子に怒られているからか、どうも詭弁を弄する人という印象がぬぐえない宰我でござる。今回の質問も好意的に解釈すれば「他者にとってどんなに馬鹿らしくとも、そこに仁の真理があれば仁者はそれを求めますか?」と尋ねたと考えられなくもないのでござるが、

孔子からは「馬鹿な事いうな。」と一蹴されているのでござる。顔回が同じ事を聞いたら(聞く訳ないでござるが)、孔子はどう答えていたのでござろうか?

日ごろの行いや印象って大事だなぁ、と思う次第。

雍也第六の英訳をまとめて読みたい御仁は本サイトの論語 雍也第六を英訳を見て下され。