孔子の論語 子張第十九の二 徳を執ること弘からず、道を信ずること篤からずんば、焉んぞ能く有りと為さん

孔子の論語の翻訳484回目、子張第十九の二でござる。

漢文
子張曰、執徳不弘、信道不篤、焉能爲有、焉能爲亡。

書き下し文
子張(しちょう)が曰わく、徳を執(と)ること弘(ひろ)からず、道を信ずること篤(あつ)からずんば、焉(いずく)んぞ能(よ)く有りと為さん、焉んぞ能く亡(な)しと為さん。

英訳文
Zi Zhang said, “If a person does not keep virtue eagerly and believe in the way piously, he is useless regardless of life and death.”

現代語訳
子張(しちょう)が言いました、
「徳を熱心に守り、道を篤く信じるのでなければ、生きてようが死んでようが価値が無い。」

Translated by へいはちろう

子張(しちょう:姓は顓孫、名は師、字は子張。詳細は公冶長第五の十九に。)

孔子の死後に言った言葉でござろうが、孔子の伝えた教えが弟子達の間で絶対的な価値を持つに至っている様子がよく表れているでござるな。

聖書を書き残した福音史家たちのごとく、ソクラテスの弟子のプラトンのごとく、思想・哲学は聖人・賢人の死後にこそ時代に対して大きな力を生み出すものでござる。人々に受け継がれずに時代を変える思想などないでござるからな。

子張第十九の英訳をまとめて読みたい御仁は本サイトの論語 子張第十九を英訳を見て下され。