孔子の論語 衛霊公第十五の五 無為にして治まる者は其れ舜なるか

孔子の論語の翻訳394回目、衛霊公第十五の五でござる。

漢文
子曰、無爲而治者、其舜也與、夫何爲哉、恭己正南面而已矣。

書き下し文
子曰わく、無為(むい)にして治まる者は其れ舜(しゅん)なるか。夫(そ)れ何をか為さんや。己を恭々(うやうや)しくして正しく南面(なんめん)するのみ。

英訳文
Confucius said, “Emperor Shun could rule the world with doing nothing. What did he do? He just reigned respectfully and majestically.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「自らは何もせずに天下を治める事ができたのは舜(しゅん)だけだな。いったい何をなされただろうか? 恭しい態度でありながら君主として堂々として統治されたのみだ。」

Translated by へいはちろう

(しゅん:中国の伝説上の聖帝、詳細は八佾第三の二十五に。)

「南面する」とは宮殿の北側に座って南側に居並ぶ家臣たちに向かう事から、君主として君臨するという意味でござる。

今回の文章は、老子の十七章と共通する部分があるように感じられるでござるな。孔子も舜のように自らは家臣の手本として存在し、事業は有能な家臣たちに任せるような聖帝を理想としていたのでござろう。

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