孔子の論語 憲問第十四の八 忠にして能く誨うること勿からんや

孔子の論語の翻訳351回目、憲問第十四の八でござる。

漢文
子曰、愛之能勿勞乎、忠焉能勿誨乎。

書き下し文
子曰わく、これを愛して能(よ)く労(ろう)すること勿(な)からんや。忠にして能く誨(おし)うること勿からんや。

英訳文
Confucius said, “Everyone must be considerate when he loves someone. Everyone must be an adviser when he is honest to someone.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「人を愛したならば労らずにいられるだろうか? 人に誠実であろうとしたら忠告をせずにいられるだろうか?」

Translated by へいはちろう

前半部の「労」の字を「いたわる」ではなく「苦労させる」と解釈して、子供に苦労させるのが親の愛と解釈して後半部と両立させる解釈もあるでござるな。

しかし拙者は、「人を愛すると思いやりの心で相手をいたわるのと同様に、友人などに対して忠告をするのも思いやりの心から来る自然な行為である。」という対比を込めておっしゃった言葉だと解釈させていただいたでござる。

それを言ったら「愛する子供に苦労させるのと同様に、友人に対して辛口の忠告をするのも思いやりから来る行為である。」とも解釈できるので、本当はどちらでも良いのでござる。孔子の真意はどちらの場合も明白でござるからな。

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