孔子の論語 先進第十一の十七 季氏、周公より富めり

孔子の論語の翻訳280回目、先進第十一の十七でござる。

漢文
季氏富於周公、而求也爲之聚斂而附益之、子曰、非吾徒也、小子鳴鼓而攻之、可也。

書き下し文
季氏(きし)、周公(しゅうこう)より富めり。而(しか)して求(きゅう)やこれが為(た)めに聚斂(しゅうれん)してこれを附益(ふえき)す。子曰わく、吾(わ)が徒(と)に非(あら)ざるなり。小子(しょうし)、鼓(こ)を鳴らしてこれを攻めて可なり。

英訳文
Ji family was richer than a monarch of Lu. But Ran Qiu collected taxes for Ji family. Confucius said, “Ran Qiu is not my pupil anymore. Everyone, blame him by beating the drum.”

現代語訳
季孫氏(きそんし)は魯の君主より裕福でした。それなのに冉求(ぜんきゅう)は季孫氏のために税金の徴収をして益々季孫氏を豊かにする手助けをした。孔子がこの事についておっしゃいました、
「彼はもはや私の弟子などでは無い。諸君、鼓(つづみ)を鳴らして彼を非難してやって欲しい。」

Translated by へいはちろう

季孫氏(きそんし:当時の魯の国を実質的に支配していた三桓氏(孟孫・叔孫・李孫の御三家)の一つ。)

冉求(ぜんきゅう:姓は冉、名は求、字は子有。孔門十哲の一人。詳細は八佾第三の六に。)

単純な忠という観点から言えば、冉求が直接の主人である季孫氏の為に働くのは当然の事でござる。しかし孔子が怒ったのは「季孫氏が上下の別をないがしろにして魯の君主に対して不忠を働いている事実を手助けした事であり、結果的に季孫氏に対しても不忠である。主君に間違いがあれば命をかけて正すのが真の忠臣。」という考えであったからでござろう。

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