孔子の論語 八佾第三の十七 女は其の羊を愛む、我は其の礼を愛む
カテゴリー ちょんまげ翻訳 和英, 論語 2月 27日, 2008孔子の論語の翻訳57回目、八佾第三の十七でござる。
漢文
子貢欲去告朔之饋羊、子曰、賜也、女愛其羊、我愛其禮。
書き下し文
子貢(しこう)、告朔(こくさく)の饋羊(きよう)を去らんと欲す。子曰わく、賜(し)や、女(なんじ)は其の羊を愛(おし)む、我は其の礼を愛む。
英訳文
Zi Gong proposed to quit offering sheep as a sacrifice to the ancestors at the ceremony on the first day of every month. Confucius said, “You value sheep. But I value the tradition.”
現代語訳
子貢が毎月1日に行われる告朔(こくさく:毎月1日に祖霊に羊を捧げて、祖廟に保管してあった天子からもらったその月の暦を人民に告げる祭事)に捧げられる羊をやめようと提案して、孔子はこう答えられました、
「お前は羊を惜しむだろうが、私は伝統を重んじる。」
Translated by へいはちろう
古代の政治において暦を支配すると言う事は天子にのみ許された神聖な行為でござった。暦が無ければ農民はいつ種をまいて良いか解らず、いつ雨季が来るかも解らない。政(まつりごと)とは天文を見て、祭祀の日にちを決め、人々の暮らしを支配する事でござる。 日本でも改元などを含め暦を定めるのは朝廷の専有権限であり、その権限は江戸時代前期まで守られたのでござる。
さて今回の文章は合理性を求める子貢と、伝統を重んじる孔子のやりとりでござるな。この時の魯国の告朔の儀式は形骸化しており、それならいっそ羊を無駄にする事もないだろうと子貢は考えたのでござる。しかし孔子は例え形骸化していたとしても止めてしまっては今後一切伝統が絶える事になる、ここに伝統を受け継ぐ者の苦悩が表れているのでござるな。
「伝統を大事にしよう」と言うのは非常に簡単でござるが、 伝統を受け継ぐ事は非常に難しい。拙者自身は有形であれ、無形であれ時代と共に変化しない物など無いと思っているのでござるが、時代に合わせて何でも変えてしまったりしては全ての物の存在価値が希薄になってしまう。なればこそ人は古きを学んで新しきを知り、自らの苦悩を砥石として伝統に磨きをかけて来たのでござる。
剣は研がねば切れなくなる。
八佾第三の英訳をまとめて読みたい御仁は本サイトの孔子の論語 八佾第三を英訳を見て下され。
本当によくわかる解釈でした。ありがとうございます。
無駄に見えるお正月の諸々の行事も大切にしてほしいです。
なるほど。
言葉の最後の「ござる}が大変気に入りました。
言葉の解釈なるほどと思いました。やさしく解説してくれて私にもよくわかりました。無駄に見えるお正月の行事もすたれることなく大切に守っていく内容がたくさんありますね。しめ飾りなど汚れていないので来年また使おうかと考えていた不届き者です。子貢さんのようにいつも考えてしまいます。