孔子の論語 子罕第九の三十 知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼れず

孔子の論語の翻訳238回目、子罕第九の三十でござる。

漢文
子曰、知者不惑、仁者不憂、勇者不懼。

書き下し文
子曰わく、知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼(おそ)れず。

英訳文
Confucius said, “The wise have no delusion. The benevolent have no worry. The brave have no fear.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「知者は(正しい知識を備えているので)判断に迷う事はない。仁者は(正しい行いを心がけているので)悩む事はない。勇者は(正しい時にのみ力を用いるので)恐れる事はない。」

Translated by へいはちろう

今回の文は書き下し文そのままで解釈される事が多いのでござるが、もう少しだけ解り易く解釈させていただいたでござる。知者の知者たるゆえん、仁者の仁者たるゆえん、勇者の勇者たるゆえんを身につける事ができれば、迷わず・悩まず・恐れず (惑わず・憂えず・懼れず) の人生を送ることができるでござろう。

そして何をもって「正しい」とするか正邪善悪の判断が何よりも重要で、様々な価値観が共有され対立もする現代においてはとても難しい問題でござる。逆説的に自分なりの「正しさ」を見つける事が出来れば、既に知仁勇を手に入れたと考えても良いのではないでござろうか?

なお憲問第十四の三十では、子貢がほぼ同じ言葉を聞いて「それはまさに先生(孔子)の事だ」と言ってるでござる。

子罕第九の英訳をまとめて読みたい御仁は本サイトの論語 子罕第九を英訳を見て下され。