孔子の論語 述而第七の一 述べて作らず、信じて古を好む

孔子の論語の翻訳151回目、述而第七の一でござる。

漢文
子曰、述而不作、信而好古、竊比於我老彭。

書き下し文
子曰わく、述べて作らず、信じて古(いにしえ)を好む。竊(ひそ)かに我が老彭(ろうほう)に比す。

英訳文
Confucius said, “I only tell the ancient courtesy, not create. I believe in and love those old good things. I imitate Lao Peng secretly.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「私は古の礼法を言っているだけで、新たに何かを創作した訳じゃない。それら古き良きものを信じて好むだけなのだ。密かに尊敬する老彭(ろうほう)のやり方を真似ている。」

Translated by へいはちろう

老彭(ろうほう:殷の伝説上の賢大夫の彭祖(ほうそ)の事だと言われる。仙道に通じ800年生き、伝説上の聖帝である堯・舜から夏王朝・殷王朝に仕えたと伝えられる。荘子にも名前が登場する長寿の代名詞的人物。また一説によると老子と彭祖の二人の事を指しているという解釈もある。)

孔子の唱えた礼法は周公旦が定めたといわれる周礼を中心に古の礼法を復古させたものでござる。その事について謙遜しておられる訳でござるな。しかしどんな名曲も演奏されなければ人を感動させる事が出来ないように、時代に埋もれた礼法を復古させた孔子の功績はやはり偉大だと言えるのでござる。

西洋のルネッサンスや日本の江戸期など、古いものがかえって新しいものを生み出す原動力になる事はしばしばでござる。温故知新、奥深いでござるな。

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