孔子の論語 微子第十八の九 大師摯は斉に適く

孔子の論語の翻訳480回目、微子第十八の九でござる。

漢文
大師摯適齊、亞飯干適楚、三飯繚適蔡、四飯缺適秦、鼓方叔入于河、播鞉武入于漢、少師陽撃磬襄入于海。

書き下し文
大師摯(たいしし)は斉に適(ゆ)く。亜飯干(あはんかん)は楚に適く。三飯繚(さんぱんりょう)は蔡に適く。四飯缺(しはんけつ)は秦(しん)に適く。鼓方叔(こほうしゅく)は河に入る。播鞉武(はとうぶ)は漢に入る。少師陽(しょうしよう)・撃磬襄(げきけいじょう)は海に入る。

英訳文
The grand music master, Zhi, left for Qi. The second rank music official,Gan, left for Chu. The third rank music official, Liao, left for Cai. The fourth rank music official, Que, left for Qin. The drum player, Fang Shu, left for Yellow River. The hand drum player, Wu, left for River Han. An assistant to the music master, Yang, and the stone drum player, Xiang, left for the island in the sea.

現代語訳
楽師長の摯(し)は斉に去った。二番目の楽師の干(かん)は楚に去った。三番目の楽師の繚(りょう)は蔡に去った。四番目の楽師の缺(けつ)は秦に去った。太鼓を担当していた方叔(ほうしゅく)は黄河流域へ去った。振り鼓を対等していた武(ぶ)は漢水流域へ去った。楽師長補佐役の陽(よう)と石太鼓を担当していた襄(じょう)は海の島へ去った。

Translated by へいはちろう

今回の文は、殷が滅びる時・または魯の哀公の時代に礼楽が衰えて、古来よりの礼楽を伝えていたこれらの楽師達が四散して伝統が失われてしまった事を伝えていると言われているでござる。

ただ彼らがそれぞれの地でどの様な文化の種を蒔いたのか考えると、歴史的ロマンを感じさせる一文とも言えるでござるな。

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