孔子の論語 子路第十三の十一 善人、邦を為むること百年、亦以て残に勝ちて殺を去るべし

孔子の論語の翻訳324回目、子路第十三の十一でござる。

漢文
子曰、善人爲邦百年、亦可以勝殘去殺矣、誠哉是言也。

書き下し文
子曰わく、善人(ぜんにん)、邦(くに)を為(おさ)むること百年、亦(また)以(もっ)て残(ざん)に勝ちて殺を去るべしと。誠(まこと)なるかな、是(こ)の言や。

英訳文
Confucius said, “They says, ‘If someone governs a country for a hundred years, even though he is an ordinary person, the country can reduce crimes and can abolish the death penalty.’ I think it is true.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「普通の善人でも国を100年も治めれば、犯罪を減らして死刑を無くす事ができるというが、この言葉は本当だと私は思う。」

Translated by へいはちろう

前回の「三年あれば理想を叶えられる」を受けての言葉でござろうな。長い歴史を振り返っても同じ人間が100年も政治を行う例など普通に考えてある訳無いのでござるが、もしそんな事があったら王朝はその代か次の代で滅ぶでござろうな。

前にも言ったでござるが、権力というのは集中すればするほど時間の経過とともにリスクを高めていくのでござる。世襲君主でさえ通常20~30年程度で代が変わるというのに100年も同じ人間が権力の座にいたら彼に恨みを持つ人々は親子三代に渡って恨みを蓄積させることになるのでござる。逆に彼に優遇された人々は親子三代に渡って栄華を欲しいままにし腐敗と堕落をまねくでござろう。

どんな名君でも50年くらいが限界だと拙者は思う次第でござる。

子路第十三の英訳をまとめて読みたい御仁は本サイトの論語 子路第十三を英訳を見て下され。