孔子の論語 先進第十一の十二 未だ生を知らず、焉んぞ死を知らん

孔子の論語の翻訳275回目、先進第十一の十二でござる。

漢文
季路問事鬼神、子曰、未能事人、焉能事鬼、曰敢問死、曰未知生、焉知死。

書き下し文
季路(きろ)、鬼神(きしん)に事(つか)えん事を問う。子曰わく、未(いま)だ人に事うること能(あた)わず、焉(いずく)んぞ能(よ)く鬼(き)に事えん。曰わく、敢(あ)えて死を問う。曰わく、未だ生を知らず、焉んぞ死を知らん。

英訳文
Ji Lu asked how to serve the soul of the dead. Confucius replied, “I have not been able to serve human yet. Why can I serve the soul well?” Then Ji Lu asked about death. Confucius replied, “I have not understood life yet. Why can I understand death?”

現代語訳
季路(きろ)が死者の魂に対してどうやって仕えたら良いか尋ねました。 孔子は、
「まだ人に仕える事さえ十分に出来ないのに、どうして上手く死者の魂に仕える事ができようか。」
と答えられました。そこで季路は死について尋ねました。 孔子は、
「まだ生について十分に理解していないのに、どうして死を理解できるだろうか。」
と答えられました。

Translated by へいはちろう

季路(きろ:子路とも言う。姓は仲、名は由、字は子路。詳細は公冶長第五の七に。)

孔子らしいお言葉でござるな。とくに季路に対して言った事を考慮すれば、「自分の手が届かぬ世界の事を心配するより、まず自らを修める事から始めなさい。」と言う意味でござろうか。

日ごろ世の中が何かと悪い方向へ向かっていると感じられる御仁は、まず自分を修める事から始めてみてはいかがでござろうか。

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