学問のすすめ 四編 段落三 方今我国の形勢を察し、その外国に及ばざるものを挙れば、曰学術、曰商売、曰法律、是なり

学問のすすめの翻訳、四編 段落三でござる。

現代語訳

 現在の我が国の情勢を察して、その外国に及ばない点を挙げるとすれば、学術、商売、法律である。世界の文明はもっぱらこの三つに依っており、この三つが揃っていないと国の独立を維持できない事は識者に聞くまでもなく明白である。だがしかし、今我が国においてこれらの一つとしてその体を成しているものは無い。

英訳文

Compared to foreign countries, our country today seems that it has not developed academic disciplines, commerce and the law yet. The civilization of countries depends on these three. It is obvious without scholars’ opinions that you cannot maintain the independence of your country without developments of these three. However, our country has not developed even only one of them yet.

Translated by へいはちろう

ここで福沢諭吉が言うところの学術というのは、初編の段落二でも述べられている通り、それまでの日本人の多くが学んでいた漢学ではなく、日々の生活から様々な事態に応用の利く西洋流の実学という事でござろうな。

商売については儒学の影響もあって支配層である武士が商売を忌み嫌っていたのが致命的でござるが、実は米の取引に関して世界に先駆けて先物取引が行われていたり、寺子屋で多くの子供が算術を習っていたりして、明治維新の原動力となるような基礎があったのも事実でござる。

しかし福沢諭吉の様に当時最先端の国へ実際に赴いてその先進性を体験すれば、それと比べて日本がどうしても今一歩、いや二、三歩は遅れていると感じざるを得なかったのでござろうな。

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