孔子の論語 子罕第九の二十 これに語げて惰らざる者は、其れ回なるか

孔子の論語の翻訳228回目、子罕第九の二十でござる。

漢文
子曰、語之而不惰者、其囘也與。

書き下し文
子曰わく、これに語(つ)げて惰(おこた)らざる者は、其れ回(かい)なるか。

英訳文
Confucius said, “Only Yan Hui listens to my lesson to the last eagerly.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「私の話をいつも最後まで熱心に聞いているのは顔回(がんかい)だけだな。」

Translated by へいはちろう

顔回(がんかい:顔淵とも呼ぶ。姓は顔、名は回、字は子淵。孔門十哲の一人。詳細は公冶長第五の九に。)

今回の文からは顔回の勤勉家ぶりよりも、「人に教える難しさ」が伝わってくるようでござる。

孔子門下3000人の中で孔子の言葉を常に真剣に聞いていたのが顔回ただ一人なのだとしたら、学校で教師の話を真剣に聞く生徒などは一人でもいれば奇跡でござる。

それは別に生徒たちが不真面目なわけではなく、「教える」という行為には自ずから限界があるということでござる。10の物事を教えようとするならば、2~3程度教えて後は自分で考えさせた方が良い結果を生む場合が多いと思うのでござる。

それなのに10の事を教える事を期待される教師の方々は大変でござるな。10の事を習得する事を期待される生徒も大変でござるが。

子罕第九の英訳をまとめて読みたい御仁は本サイトの論語 子罕第九を英訳を見て下され。