孔子の論語 述而第七の二十六 釣して綱せず、弋して宿を射ず

孔子の論語の翻訳176回目、述而第七の二十六でござる。

漢文
子釣而不綱、弋不射宿。

書き下し文
子、釣(つり)して綱(こう)せず。弋(よく)して宿を射ず。

英訳文
Confucius enjoyed fishing, but not used a net. He enjoyed hunting, but not shot birds in a nest.

現代語訳
孔子は釣りを楽しまれたが、網を用いる事はなかった。狩りを楽しまれたが、巣の中の鳥を射る事はなかった。

Translated by へいはちろう

今回の文の解釈はなかなか難しいでござるな。単純に解釈すれば必要以上に求めたり、不必要な殺生を避けたという意味なのでござるが、そもそも魚を取るのに網を用いるのは生活のためにするのであって娯楽のために釣りをするのとは訳が違う。猟師ならば罠をしかけて獣を捕らえることもあるかも知れないが、教養人のたしなみとしての弓術とはまた訳が違う。

もちろん孔子はその辺を弁えておられたからこそ、この様になさっていたのでござるが、この様な文が論語にある事で論語の編纂者の視点が民衆の方向を向いていなかったのでは無いかと今更ながらに思うのは考えすぎでござろうか?

ただ単に拙者があまのじゃくなだけでござるな。

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