孔子の論語 顔淵第十二の十七 子帥いて正しければ、孰か敢えて正しからざらん

孔子の論語の翻訳306回目、顔淵第十二の十七でござる。

漢文
季康子問政於孔子、孔子對曰、政者正也、子帥而正、孰敢不正。

書き下し文
季康子(きこうし)、政(まつりごと)を孔子に問う。孔子対(こた)えて曰わく、政とは正(せい)なり。子帥(ひき)いて正しければ、孰(たれ)か敢(あ)えて正しからざらん。

英訳文
Ji Kang Zi asked Confucius about politics. Confucius replied, “It is to walk the right path. If you tread on the right path, all the people walk the same path with you.”

現代語訳
季康子(きこうし)が孔子に政治について尋ねました。孔子は、
「政治とは正道を行くことです。もしあなたが率先して正道を行けば、誰もがあなたと同じ正道を行くでしょう。」
と答えられました。

Translated by へいはちろう

季康子(きこうし:魯の宰相、姓は季孫、名は肥、康子は諡(おくりな)。魯の実質的支配者である三桓氏の筆頭。)

孔子の政治思想は今回の文に集約されると言っても過言ではないくらいでござるな。

つまり人々の上に立つ人間が正しい行いをする事によって周囲の人間を正しく導くというのが孔子の考えで、その正しい行いの根拠である仁の心と礼の教養を兼ね備えた人間を君子と呼び、孔子は彼らを学問によって育てることに生涯を費やしたのござる。

そして多くの君主・貴族たちが孔子の教えに心酔したものの、残念ながら彼らの実際の行動が孔子の理想に適うことが無かったのが皮肉といえば皮肉でござるな。

顔淵第十二の英訳をまとめて読みたい御仁は本サイトの論語 顔淵第十二を英訳を見て下され。