孔子の論語 述而第七の十一 富にして求むべくんば、執鞭の士と雖も吾亦これを為さん

孔子の論語の翻訳161回目、述而第七の十一でござる。

漢文
子曰、富而可求也、雖執鞭之士、吾亦爲之、如不可求、從吾所好。

書き下し文
子曰わく、富(とみ)にして求むべくんば、執鞭(しつべん)の士と雖(いえど)も、吾(われ)亦(また)これを為(な)さん。如(も)し求むべからずんば、吾が好む所に従わん。

英訳文
Confucius said, “If I can earn money by right means, I would become a herald who sends people away with a whip. Otherwise, I would rather live as my wish.”

現代語訳
孔子がおっしゃいました、
「もし正当な手段で富が手に入るならば、私は鞭を使って人々を追い払う露払いの役をしても良い。でなければむしろ自分の好きな生き方をしたい。」

Translated by へいはちろう

執鞭(しつべん)とは高貴な人の列が道を行く時などに鞭をもって人々を追い払って道を空ける役目でござる。日本の大名行列などで「下にぃ、下に」と言って道を空ける露払いと同じでござるな。高貴な人のために露払いをするということは必然的に身分が低い者の務めなので、少なくとも君子の役目では無いとされていたのでござろう。

孔子は正当な手段でお金を得るならば職業の貴賎は問題ではないとおっしゃっているのでござる。そして同時に不正な手段でお金を得る事を戒めているのでござるな。

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