not a living soul 誰も~ない

秋でなくても食欲だけはいつも旺盛な、いつか使ってみたい英語表現シリーズ。

not a (living) soul
誰も~ない

今回紹介するのもまたまたムーミンの小説から。シリーズ第7作目の「ムーミン谷の仲間たち(邦題) / Tales from Moominvalley(英題) / Det osynliga barnet(原題)」の67ページ目で、ドラゴンを捕まえたムーミンがムーミンママに、川に遊びに行っている間は誰も部屋に入らないでとお願いして、ムーミンママがミィに対して言ったセリフでござる。

I’m going down to the liver after lunch,” Moomintroll said, slowly and contemptuously. Contemptuously as a dragon. “Mother, please tell them that they’re not to go into my room. I can’t answer for the consequence.” “Good,” said Moominmamma and gave My a look, “Not a living soul may open his door.

Tove Jansson / Tales from Moominvalley 第4章より

直訳すると「生きている魂」の否定形、という事なのでござるが、この a living soul というのは要するに人間 (a person) の事でござる。つまり not a living soul で nobody あるいは not anybody という意味でござる。上のムーミンママのセリフだと「誰もムーミンの部屋のドアを開けてはいけませんよ。」という事でござるな。ちなみに living は省略される事が多く、not a soul だけでも nobody の意味になるでござる。

Don’t tell a soul.
誰にも言うなよ。

また a (living) soul が人間という意味なので以下のような表現もできるでござる。

every (living) soul
全員、みんな = everybody, everyone

まあ「魂」なんて言葉が使われている事から、どちらかといえば古風なというか芝居がかった印象を受けるでござるな。日本人が無理に使う必要はないでござるが、この表現にふとでくわした時には「生きている魂? この人は突然何を言い出すの?」なんてあわてない様にしたいものでござる。

独自ドメインで作ったオリジナルメールアドレスをPCやスマホや携帯で使う

今回の話はまったく英語には関係ないのでござるが、ちょっと皆さんにおすすめしたい事があるので時間のある方はどうかお付き合いくだされ。

少し前にこのブログもようやくスマートフォンでの表示に対応したのでござるが、このブログや拙者の他のサイトへスマートフォンで訪れる方も少しづつ増えてきているみたいでござる。いくら最近のスマートフォンは進化しているとはいえ、小さな画面で拙者のサイトを見てくれる人がいると思うと、なんだか少し申し訳ないような気がしてしまうのはどうしてでござろうな。パソコンで見ても内容は一緒なのに。

それはともかくスマートフォンの普及によって、従来の携帯電話のように電話会社に紐付けられたメールアドレス(docomo.ne.jpなど)を使用する事に不便さを感じる人も増えているそうでござる。MNP (携帯電話番号ポータビリティー) なんかを利用して携帯電話会社を変更したりすると電話番号と違って途端に使えなくなってしまうでござるからな。

そこで拙者がおすすめするのが検索エンジンで有名な Google が提供するメールサービスの Gmail を、独自ドメインと呼ばれる自分だけのドメインで利用する事ができる Google Apps (グーグルアップス) というサービスでござる。

まずドメインとは何なのか解らない人のために簡単に説明すると、例えばこのブログのURLの http://blog.mage8.com/ の mage8.com の部分がドメインでござる。他には yahoo.co.jp とかもドメインだし、メールアドレスの@(アットマーク)の後ろの docomo.ne.jp とかもドメインでござる。ようは広大なインターネットの世界で、ここは自分だけの領域(domain)だと主張するために使われるのでござるな。そしてこのドメインを持っていれば拙者のように自分だけのウェブサイトやブログを運営したり、自分だけのメールアドレスを作成したりできるというわけでござる。

さてここまで読んで「なんだか難しそうだな」と思った御仁はしばらく待たれよ、広大なインターネットには物好きな人間もいて、ドメインを取得したり、そのドメインと Google Apps を使ってメールアドレスを作成したりという事を、画像付きで解かりやすく解説している人間もいるのでござる。

まあ その物好きな人間というのは拙者 なのでござるが、せっかく解説ページを作ったので興味のある御仁はこちらのページを読んでくだされば幸いでござる。

Google Apps + 独自ドメインで自分だけのメールアドレス

残念ながらこちらのページはスマートフォンでの表示には最適化されていないでござる…。ページ自体はかなり前に作成してツイッターでよくツイートされたり、はてなブックマークでもよくブックマークされたりしているのでござるが (英語関連のサイトのどのページよりも人気が高いのは少し微妙な気分でござる)、最近肝心の Google Apps のサイトの内容に少し変更があったみたいなので、今日一日かけて最新の情報に更新した次第でござる。

このページの解説に従えば年間のドメイン料金だけで(拙者のおすすめする バリュードメイン だと1000円弱程度)、自分だけのオリジナルメールアドレスを作ってPCやスマートフォンや携帯電話でメールを送受信する事ができるようになるのでござる。

また独自ドメインだとメールアドレスの @(アットマーク)の前の部分は自分の好きな文字列を選ぶことができるので、

taro@example.com
hanako@example.com

という感じの短くて覚えやすいアドレスを取得する事ができるのもおすすめポイントでござるな。Google Apps だとドメインさえあれば、10個までメールアドレスを無料で作成できるので、家族みんなで同じドメインを使ったメールアドレスを所有するというのも良いでござるよ。

とまあ、英語にまったく関係ない話をずいぶんと長々としてしまったでござるが、ここまで読んでくれた御仁には本当に感謝でござる。そしてできればGoogle Appsの解説ページも読んでいただき、ドメイン取得とメールアドレス作成に挑戦してくれればありがたき幸せでござる。

A watched pot never boils. 待つ身は長い

わりと海の近くに住んでいるというのに、8月も半ば過ぎてからようやく今年初めて海に行ったという、いつか使ってみたい英語表現シリーズ。

A watched pot never boils.
待つ身は長い。/ あせりは禁物。

原文を意訳すると「鍋を見ていてもお湯は沸かない」って感じでござろうか。とくに説明の必要がないほど実に解りやすいことわざでござるな。逆に日本語訳として当てられる事の多い、日本のことわざの「待つ身は長い」の方があまりピンと来ない感じがするくらいでござる。一応説明すると鍋を火にかけてお湯が沸くのをすぐ側で待っていると、お湯が沸くまでの時間がとても長く感じられる…、つまりは短気をいましめることわざでござるな。

拙者もあまりにもお腹が空いている時、「ああ、もうインスタントラーメンでいいや」とラーメンを作るために鍋に水を入れて火にかけた後、お湯が沸くまでの時間が非常に長く感じるでござる。そういう時は具材として一緒に煮込む野菜を切ったり、薬味のネギを刻んだりしてお湯が沸くのを待つと良いでござるな。

なお pot の部分を kettle と言い換えることもしばしばでござる。ちなみにこのことわざがいつ頃から使われているのかは不明でござるが、1848年に出版されたエリザベス・ギャスケルの小説「メアリー・バートン ~ マンチェスター物語」の中にこのことわざがでてくるみたいでござるな。

“Come, now,” said Mrs. Sturgis, “my master told me to see you to bed, and I mun. What’s the use of watching? A watched pot never boils, and I see you are after watching that weathercock. Why now, I try never to look at it, else I could do nought else. My heart many a time goes sick when the wind rises, but I turn away and work away, and try never to think on the wind, but on what I ha’ getten to do.”

Elizabeth Gaskell / Mary Barton – A Tale of Manchester Life 第31章より

またアメリカ建国の父の一人、ベンジャミン・フランクリンの自伝にも同じような言葉がでてくるようでござる。

Finally another Breakfast is ordered. One Servant runs for fresh Water, another for Coals. The Bellows are plied with a will. I was very Hungry; it was so late; “a watched pot is slow to boil,” as Poor Richard says. Madame sets out for Paris & leaves us. We begin to eat.

Benjamin Franklin / Paris 1776-1785より

このことわざは生活に根ざしたものなのでかなり古くから使われていても不思議ではないでござるが、もしかしたら19世紀頃の印刷技術の向上による書物の大量普及によって英語圏全体に広がったのものかも知れないでござるな。

What’s the great idea? 一体どういうつもり?

暑い季節がやってきてもたまにしか更新しない、いつか使ってみたい英語表現シリーズ。

What’s the great idea? / What’s the big idea?
一体どういうつもり? / 何をするのさ!

今回紹介するのもまたムーミンの小説から。シリーズ第6作目の「ムーミン谷の冬(邦題) / Moominland Midwinter(英題) / Trollvinter(原題)」の20ページ目でミイがリスに寝袋をかじられ、怒って言ったセリフでござる。

Presently an angry head with tousled hair appeared in the hole he had bitten in the wool. “Are you all there, you!?!” said Little My. I’m not sure,” said the squirrel. “Now you’ve waked me,” Little My continued severely. “And eaten half my sleeping-bag. What’s the great idea?

Tove Jansson / Moominland Midwinter 第2章より

直訳からくるニュアンスとしては「(そんな事をする、)その素晴らしい考えとはいったい何なのだ?」という感じでござるかな。great idea よりは big idea の方が使われる頻度が多いでござる。

また似たような表現に以下のようなものがあるでござるよ。

What a great idea!
それは素晴らしい考えだ!

まあ、普通の感嘆文でござるな。特に説明は不要でござろう。

What’s your great idea?
何か意見(アイデア)はありませんか?

こちらは「もし(素晴らしい)意見があれば教えてください」というニュアンスでござる。アンケート調査や、インターネットの意見投稿フォームなんかでよく見るでござるな。

ただしこれらは文脈や状況、言い方によってニュアンスが変わるという事は覚えていた方が良いでざろう。

I haven’t had a pancake for the last eighty-five years. パンケーキを食べるのは85年ぶりだ

前回の更新から1週間ほどでまた更新するという快挙を成し遂げる、いつか使ってみたい英語表現シリーズ。

I haven’t had a pancake for the last eighty-five years.
パンケーキを食べるのは85年ぶりだ。

今回紹介するのもまたムーミンの小説から。シリーズ第3作目の「たのしいムーミン一家(邦題) / Finn Family Moomintroll(英題) / Trollkarlens hatt(スウェーデン語原題)」の149ページ目、ムーミン達がパーティしている最中にやってきた「飛行おに (英語名:Hobgoblin / スウェーデン語名:Trollkarl)」がムーミンママからパンケーキをもらって言ったセリフでござる。

“Give me something to munch,” said the Hobgoblin. “This is getting on my nerves.” Moominmamma at once busled forward with pancakes and jam, and gave him a big plateful. While the Hobgoblin was eating they edged a little nearer. Somebody who eats pancakes and jam can’t be so awfully dangerous. You can talk to him. “Does it taste good?” asked Thingumy. “Yes, thanks,” said the Hobgoblin. “I haven’t had a pancake for the last eighty-five years.” At once everybody felt sorry for him, and came still nearer.

Tove Jansson / Finn Family Moomintroll 第7章より

直訳すると「私はここ85年間パンケーキを食べていません」という感じでござるが、既に食べている最中のセリフなのでより日本語的に「パンケーキを食べるのは85年ぶりです」と訳した方が良いでござろう。もちろん食べてなければ直訳のままの意味としても使えるでござるよ。

さてこの「~年ぶり」という英語表現としては “for the first time in ~ years” というのが英語学習者には馴染みが深いのではないでござろうか。今回のセリフをこれに従って言い換えると、

I have a pancake for the first time in eighty-five years.

となるでござる。have が現在形なのはもちろんパンケーキを食べている最中だからで、よりそれを強調する場合には現在進行形にするのもありでござろう。

ただし我々日本人としては翻訳者である Elizabeth Portch氏がどうしてこの表現を使わず、”I haven’t had a pancake for the last eighty-five years.” という表現にしたのかという事を考えねばならないでござろうな。

これは拙者の見解でござるが “I haven’t ~” と否定形を使う事によって、より「(長い間)食べた事がなかった」というニュアンスが強調されるのではないでござろうか。後者の表現だと「(久しぶりに)食べた事」の方が強調される感じでござる。そして前者の表現の方がその後に続く、「ムーミン達が彼に同情してそばに近寄った」というエピソードにマッチする…、様に拙者には思えるでござる。

とまあそれはさておき、今回の英語表現は状況に応じて細かい部分を入れ替えれば結構使えると思うので覚えておいて損はないと思う次第でござる。また洋書を読んでいて面白い英語表現を見つけた時は、「どうしてその表現が使われたのか?」について思いをめぐらせて見ると良いでござるよ。英語でも日本語でもどんな言葉でも同じことでござるが、何気なく使われる言語表現には必ずそれなりの理由があるもので、それが小説ならばなおさらの事でござろう。